平成30年 予備試験 短答式 刑法 第8問 解説
問題
不能犯と未遂犯を区別する基準についての次の【見解】に関する後記1から5までの各【記述】を検討し,正しいものを2個選びなさい。【見 解】行為当時に一般人が認識し得た事情及び行為者が特に認識した事情を基礎とし,一般人を基準に結果発生の危険性があるか否かの判断による。【記 述】
1.この【見解】によれば,人を殺そうとして,客観的には死の結果を引き起こさない量の空気を人の血管内に注射した場合,殺人未遂罪の成立が認められる余地がある。
2.この【見解】によれば,結果発生の危険性の有無は,実際に存在した事実のほかにどのような事実が存在すれば結果が発生し得たかを事後的見地から検討し,そのような事実が行為時に存在し得る可能性の程度を考慮して判断することになる。
3.この【見解】によれば,人を殺そうとして,一般人ならば明らかに砂糖と分かる黒糖を毒薬と思い込んで紅茶に入れて飲ませた場合,この行為者の認識した事情を基礎として,一般人を基準に,この行為による死の結果発生の危険性の有無を判断することになる。
4.この【見解】によれば,行為者が特に認識した事情も基礎とされるので,結果を引き起こす特別な事情を認識している行為者による行為には結果発生の危険性が認められ,その事情を認識していない行為者による行為には結果発生の危険性が認められない場合がある。
5.この【見解】によれば,結果が発生しなかった原因が科学的に説明できる場合には,常に結果発生の危険性は否定されることになる。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4正解
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
具体的危険説は、行為時に一般人が認識し得た事情+行為者が特に認識した事情を基礎に、一般人基準で危険性を判断する説であり、事後的・科学的な検討をする客観的危険説とは異なる。また一般人にとって明白な誤信(黒糖を毒と思い込む等)は基礎事情に取り込まれない点に注意。
結論
正しい記述は1と4であり、選択肢3(1と4)が正解である。具体的危険説は行為時の一般人の認識可能性と行為者の特別な認識を基礎に一般人基準で危険性を判断するため、致死量未満の空気注射でも未遂が成立しうる(記述1)し、行為者の認識の有無で危険性の判断が分かれることもある(記述4)。
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出典:法務省「平成30年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
