令和7年 司法試験 短答式 刑法 第20問エ 解説
問題
【事例】に関するアからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。【事 例】甲は、乙から現金をだまし取ろうと考え、某月1日、不正な細工を施した花札を用いて賭博の初心者である乙を負けさせ、乙に300万円の債務を負担させた。(①)乙は、同月2日、賭博の常習者である丙に相談したところ、丙は、乙に対し、再び賭博をするよう教唆した。乙は、再び賭博をすることを決意し、同月3日、別の賭博場で賭博をしたが負けたため、更に300万円の債務を負った。(②)乙は、同月5日、高額収入が得られる旨をうたう求人サイトに応募したところ、同サイトを運営していた丁から、不正に入手したクレジットカードの名義人Aを装って電子マネーの購入手続をするよう依頼されてこれに応じ、インターネットを介して、Aの氏名やカード番号等の情報をクレジットカード決済代行会社が使用する電子計算機に送信し、同電子計算機に接続されたハードディスクにAが10万円相当の電子マネーを購入した旨の電磁的記録を作成して同電子マネーの利用権を取得した。(③)丁は、不特定多数の者に電話をかけ、真実は違約金を支払う必要がないのに、これを支払う必要がある旨のうそを告げ、某所に現金を送付させて詐取することを繰り返していた。丁は、乙の応募に先立つ同月4日、Bに電話をかけ、前同様のうそを告げ、現金を某所に送付するよう指示した。Bは、うそを見破って警察官に通報したところ、警察官から丁の上記指示に従ったふりをするよう依頼され、同月5日、模造紙幣が入った荷物を某所に発送した。乙は、同月6日、丁から、上記指示内容について説明を受けるとともに上記荷物を受領して丁に届けるよう依頼され、同荷物が詐欺の被害金であると認識した上でこれに応じ、いわゆるだまされたふり作戦の開始を認識しないまま某所で宅配業者から同荷物を受領したが、その場で警察官に逮捕された。(④)丁は、乙が逮捕されたことを知り、同月7日、知人の戊に対し、自己の逃走資金の提供を依頼した。戊は、同日、丁が現金の詐取を繰り返していたことを認識した上で、逃走資金として現金100万円を丁に手渡した。(⑤)【記 述】
エ.④につき、乙は、だまされたふり作戦の開始後に加功しているので、乙の加功前になされた欺罔行為を含む詐欺未遂罪の共同正犯は成立しない。
- ①正しい
- ②誤っている正解
解説
要点
だまされたふり作戦においては、受領行為者がその開始を認識していなくても、欺罔行為と一体のものとして予定されていた受領行為に共謀の上で関与した以上、加功前の欺罔行為を含めた詐欺未遂罪の共同正犯が成立する(最決平成29年12月11日)。
結論
記述エは誤りであり、選択肢2が正しい。判例は、だまされたふり作戦開始後に事情を認識して受領行為に加担した者について、その加功前になされた欺罔行為を含めた詐欺未遂罪の共同正犯の成立を認めており、乙がだまされたふり作戦の開始を認識していなかったとしても結論は変わらない。
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出典:法務省「令和7年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
