令和4年 司法試験 短答式 刑法 第3問オ 解説
問題
詐欺罪の実行の着手に関する次の【事例】及び【判旨】についての後記アからオまでの各【記述】を検討し、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。【事 例】甲及び乙は、既に100万円の詐欺被害に遭っていたVに対し、警察官に成り済まして電話し、犯人検挙及び被害回復のために必要と誤信させ、Vに預金を払い戻させた上、警察官に成り済ました甲がV宅に赴き、捜査に必要であるから現金を預かるとのうそを言ってVから現金をだまし取ることを計画した(以下「本件計画」という。)。その上で、乙は、本件計画に従ってVに電話し、捜査に必要であるから預金を全部払い戻してほしいとうそを言い、これを信じたVが預金を払い戻して帰宅すると、その約1時間後に再び乙がVに電話し、間もなく警察官がV宅に行くとうそを言った。しかし、甲は、V宅に到着する直前、警察官に逮捕された。【判 旨】1回目と2回目の電話における各うそ(以下「本件うそ」という。)を述べた行為は、本件計画の一環として行われたものであり、本件うその内容は、本件計画上、Vが現金を交付するか否かを判断する前提となるよう予定された事項に係る重要なものであった。そして、このように段階を踏んでうそを重ねながら現金を交付させるための犯行計画の下において述べられた本件うそには、Vに現金の交付を求める行為に直接つながるうそが含まれており、既に100万円の詐欺被害に遭っていたVに対し、本件うそを真実であると誤信させることは、Vにおいて、間もなくV宅を訪問しようとしていた甲の求めに応じて即座に現金を交付してしまう危険性を著しく高めるものといえ、本件うそを一連のものとしてVに対して述べた段階において、Vに現金の交付を求める文言を述べていないとしても、詐欺罪の実行の着手があったと認められる。【記 述】
オ.【判旨】は、詐欺罪の実行の着手が認められるためには必ずしも財物交付要求行為が必要ないとの立場を前提としている。
- ①正しい正解
- ②誤っている
解説
要点
詐欺罪の実行の着手は、財物交付を求める文言が現実に述べられていなくても、一連のうそが交付要求行為に密接し、被害者の財産的処分行為に向けた危険性を著しく高めた段階で認められる(最判平成30年3月22日刑集72巻1号82頁)。
結論
選択肢1が正しい。【判旨】は、Vに現金の交付を求める文言(財物交付要求行為)を述べていない段階でも詐欺罪の実行の着手を認めており、実行の着手に財物交付要求行為そのものが必須ではないという立場を前提としている。
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出典:法務省「令和4年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
