大判大正6年11月24日
葬祭義務を負う者が死体を放置して立ち去る不作為について、死体遺棄罪(刑法190条)の成立を認めた判例
刑法不作為犯生命・身体に対する罪本試験で 2 問(短答 2・論文 0)
出題:司法R1・予備R8
解説
事案
実母が野外で嬰児を出産した。実母はその嬰児を砂中に生き埋めにして殺害し、死体をそのまま放置して現場を立ち去った。
嬰児を埋めたのは生きている間の殺害行為である。そのため、死亡後の死体を作為で移動・隠匿したという構成はとりにくい。問題になったのは、死亡後に死体を埋葬等せず放置して立ち去った不作為が、死体遺棄罪(刑法190条)の「遺棄」に当たるかである。
争点
- 死体遺棄罪(刑法190条)の「遺棄」は不作為によっても実現できるか
- 不作為による死体遺棄が成立するための作為義務(葬祭義務)の根拠と範囲
判旨
結論:実母について、不作為による死体遺棄罪(刑法190条)の成立を認めた。
規範(答案用):
- 法令または慣習上、死体の葬祭(埋葬)をすべき義務を負う者が、死体を埋葬等せずに放置して立ち去った場合、その不作為は死体遺棄罪の「遺棄」に当たる。
- 葬祭義務を負わない者が単に死体を放置しても、「遺棄」には当たらない。
- このように、不作為による死体遺棄の成否は、葬祭義務の有無で分かれる。
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