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教育勅語隠匿事件

大判大正4年5月21日

不法領得の意思を「権利者排除意思+経済的用法に従った利用処分意思」と定義し、隠匿目的のみの場合はこれを否定した

刑法窃盗罪横領・背任罪生命・身体に対する罪本試験で 9 問(短答 8・論文 1)

出題:司法H22・司法H25・司法H27・司法H29・司法R3・司法R6・司法R8・予備R2・予備R3

解説

事案

被告人が他人の占有する物(教育勅語に関わる物。通称「教育勅語隠匿事件」)を持ち出した事案である。その目的は、物を利用することではなく、もっぱら隠匿することにあった。

  • 争われたのは、このような隠匿目的での持ち去りが窃盗罪(刑法235条)にあたるかである。
  • 教材では、本件は窃盗罪ではなく器物損壊罪の問題として整理されている。
  • 事案の細部(被告人の身分、物の具体的な状況、隠匿の動機など)は、手元の資料からは確認できない。

争点

  • 窃盗罪の成立に、故意のほか不法領得の意思が必要か
  • 不法領得の意思の内容(定義)は何か
  • もっぱら隠匿・毀棄の目的で他人の物の占有を奪った場合に、窃盗罪が成立するか

判旨

窃盗罪が成立するには、占有侵害の認識(故意)に加え、不法領得の意思が必要である。不法領得の意思とは、「権利者を排除し他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従いこれを利用し又は処分する意思」をいう(教材による定義の表記)。

  • この定義は、権利者排除意思と利用処分意思の二要素から成る。
  • もっぱら隠匿の目的で他人の物を持ち去った場合は、利用処分意思を欠き、不法領得の意思が否定される。
  • そのため窃盗罪は成立せず、隠匿は器物損壊罪(刑法261条)等の毀棄・隠匿罪の問題となる。

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