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大判大正15年11月2日

列車内に乗客が置き忘れた物は、車掌等が管理を始めない限り占有離脱物であり、領得は占有離脱物横領罪にとどまる。

刑法窃盗罪本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法H25・司法R5

解説

事案

乗客が列車(電車)内に物を置き忘れて下車した。被告人はその遺留品を持ち去り、自己のものとした。

列車内は鉄道会社・乗務員が管理する場所である。しかし、車掌等の乗務員が当該遺留品の存在を知り、管理を始めていたという事情はなかった。

このため、持ち去った時点で、その物がなお誰かの占有下にあったのかが問題になった。置き主の占有が残っているか、管理者である車掌等・鉄道会社の占有が及ぶか、という点である。その結論によって、窃盗罪(刑法235条)が成立するのか、占有離脱物横領罪(刑法254条)にとどまるのかが分かれる。

争点

  • 列車内に乗客が置き忘れた物について、置き主の占有が残っているか
  • 列車内という管理された場所の遺留品について、車掌等(鉄道会社)の占有が認められるか
  • 遺留品の領得は窃盗罪(刑法235条)か、占有離脱物横領罪(刑法254条)か

判旨

列車内の乗客の遺留品を持ち去った行為につき、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪(刑法254条)が成立するとした。

規範としては次のように整理できる。

  • 乗客が置き忘れて下車した物は、置き主の事実上の支配から離れている。
  • 列車という管理された場所にあっても、車掌等がその物の存在を知って管理を開始したといえない限り、管理者の占有も及ばない。
  • したがって、その物は「占有を離れた他人の物」にあたる。

答案では「占有の有無は、財物に対する事実上の支配の有無によって判断する。管理者のいる場所の遺留品については、管理者が当該物の存在を認識して管理を開始したかを考慮する」と示し、本判例を引用する形になる。

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