大判昭和7年6月15日
保険金詐取目的で放火しただけでは詐欺罪の実行の着手はなく、保険会社への保険金請求の時点で着手が認められるとした判例
刑法詐欺・恐喝罪本試験で 2 問(短答 2・論文 0)
出題:司法H28・予備H23
解説
事案
行為者が保険金を騙し取る目的で放火した事案である(判決全文が確認できないため、詳細な事実関係は不明)。
- 問題となったのは、放火の時点で既に詐欺罪(刑法246条1項)の実行の着手があり、詐欺未遂罪(刑法250条)が成立するのか、それとも保険会社に保険金を請求した時点で初めて着手があるのか、である。
- 保険金詐欺は、①保険事故の作出(放火)、②保険会社への保険金請求、③保険金の交付、という段階を順に経る。
- 本判決は、このうちどの段階で詐欺罪の実行の着手を認めるかを示した。
争点
- 保険金詐取目的で放火した時点で、詐欺罪の実行の着手が認められるか
- 保険金詐欺における詐欺罪の実行の着手時期はいつか
判旨
結論:保険金を取得する目的で放火しただけでは、詐欺罪の実行の着手は認められない。保険会社に対して保険金を請求した時点で、初めて詐欺罪の実行の着手が認められる。
規範(答案用):
- (本判決の結論を答案用に整理したもの)詐欺罪の実行の着手は、交付の相手方に向けた欺罔行為が開始された段階で認められる。
- 保険金詐欺では、保険会社に対する保険金の請求がこれに当たる。
- それより前の保険事故の作出(放火など)は、詐欺罪の準備行為にとどまる。
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