最判昭和63年7月19日
抵当権付き不可分不動産の詐害行為取消しで抵当権登記が抹消された場合、価額から被担保債権額を控除した残額で価格賠償によるとした。
出題:司法H24・予備H26
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和61(オ)495 詐害行為取消請求事件
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 集民 第154号363頁
- 参照法条
- 民法424条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
抵当権の設定された不動産についてされた譲渡担保契約等の詐害行為に該当する場合に抵当権設定登記が抹消されたときの原状回復の方法
裁判要旨
抵当権の設定されている不動産について当該抵当権者以外の者との間にされた代物弁済予約及び譲渡担保契約が詐害行為に該当する場合において、右不動産が不可分のものであり、詐害行為の後に弁済等によつて右抵当権設定登記が抹消されたときは、その取消による原状回復は、右不動産の価額から右抵当権の被担保債権額を控除した残額の限度で価格賠償の方法による。
解説
事案
被上告人(債権者)は、D社に対し石油類等の売掛残代金債権約812万円を有し、Eがこれを連帯保証した。Eは上告人から合計1076万円を借り受けていた。D社が倒産すると、Eは他の債権者を害することを知りながら、この借受金債務の担保として、自己所有の土地建物(本件土地建物)につき上告人と代物弁済予約をし、所有権移転請求権仮登記をした。さらに譲渡担保契約を結び、所有権移転登記もした。
本件土地建物には、代物弁済予約当時、次の権利が付いていた。
- G信用組合の根抵当権(極度額300万円)
- H信用保証協会の根抵当権(極度額600万円)
- 複数の根抵当権設定仮登記
その後、各仮登記は抹消された。上告人はGの被担保債権約321万円を代位弁済し、Gの根抵当権設定登記も抹消した。本件土地建物の価額は2000万円を超えない。
原審は、予約等が本件土地建物を一括対象とする不可分のものであることを理由に、全部取消し・現物返還(仮登記および所有権移転登記の抹消登記手続)を認めた。上告人が上告した。
争点
- 抵当権付き不動産を目的とする詐害行為を取り消せる範囲
- 目的不動産が不可分で、詐害行為後に抵当権設定登記等が抹消された場合の原状回復の方法(現物返還か価格賠償か)
判旨
原判決破棄・差戻し。
規範:抵当権の設定されている不動産について、当該抵当権者以外の者との間でされた代物弁済予約・譲渡担保契約が詐害行為に当たるとする。この場合に、
- 目的不動産が不可分であり、かつ
- 詐害行為の後に弁済等によって抵当権設定登記等が抹消された
ときは、取消しは、不動産の価額から抵当権の被担保債権額を控除した残額の限度で、価格による賠償を請求する方法による。
あてはめ:本件では、詐害行為当時に付いていた根抵当権の設定登記等がその後抹消されているから、価格賠償によるほかない。不動産の価額や被担保債権額について十分な審理をしないまま全部取消し・抹消登記手続を命じた原判決には、民法424条の解釈を誤った違法がある。
判決文から
「詐害行為取消権は、債権者の共同担保を保全するため、詐害行為により逸出した財産を取り戻して債務者の一般財産を原状に回復させようとするものであるから、その取消は、本来、債務者の詐害行為により減少された財産の範囲にとどまるべきものであり」
取消しの範囲を減少した財産に限る根拠
「逸出した財産自体を原状のままに回復することが不可能若しくは著しく困難であり、また、債務者及び債権者に不当に利益を与える結果になるから」
現物返還を否定し価格賠償とする理由
「その取消は、右不動産の価額から右抵当権の被担保債権額を控除した残額の限度で価格による賠償を請求する方法によるべきである。」
答案に書く規範そのもの
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
