最判昭和63年7月1日
借地上の建物の賃借人は、敷地の地代の弁済について法律上の利害関係(現行法の「正当な利益」)を有するとした判例
出題:司法H22・司法H23・司法H24・司法H25・司法H27・司法H29・司法R5・予備H25・予備H29
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和62(オ)1577 執行文付与に対する異議事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第154号245頁
- 参照法条
- 民法474条2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
借地上の建物の賃借人と地代の弁済についての利害関係の有無
裁判要旨
借地上の建物の賃借人は、地代の弁済について法律上の利害関係を有する。
解説
事案
土地賃借人(借地人)が借地上に建物を所有してこれを第三者に賃貸しており、その建物賃借人が敷地の地代を弁済した場面で、その弁済が有効かどうかが争われた事案である。事件は執行文付与に対する異議事件として争われ、広島高裁は、建物賃借人は地代の弁済について法律上の利害関係を有すると判断した。これに対して上告がされた。
- 当事者の構造は、土地賃貸人(地主)―土地賃借人(借地人・建物所有者)―建物賃借人である。
- 建物賃借人と土地賃貸人との間には、直接の契約関係がない。
- 旧民法474条2項は、利害関係を有しない第三者は債務者の意思に反して弁済できないと定めていた。そこで、建物賃借人がこの「利害関係を有する第三者」にあたるかが問題となった。
争点
- 借地上の建物の賃借人は、敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有する第三者(旧民法474条2項、現行法では「弁済をするについて正当な利益を有する者」)にあたるか
判旨
上告棄却。借地上の建物の賃借人は、その敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有する。
- 規範(答案用):建物賃借人は、土地賃借権が消滅すると土地賃貸人に対して建物から退去して土地を明け渡す義務を負う法律関係にある。そのため、地代を弁済して敷地の賃借権の消滅を防ぐことに法律上の利益を有する。したがって、建物賃借人は地代の弁済について法律上の利害関係(民法474条2項の「正当な利益」)を有する第三者にあたる。
- 帰結:建物賃借人は、債務者である土地賃借人の意思に反しても、地代を有効に弁済できる。
- 原審の同旨の判断を正当として是認し、所論引用の判例もこれと異なる解釈をとるものではないとした。
判決文から
「借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有すると解するのが相当である。」
結論部分。短答で正誤が問われる命題そのもの
「建物賃借人と土地賃貸人との間には直接の契約関係はないが、土地賃借権が消滅するときは、建物賃借人は土地賃貸人に対して、賃借建物から退去して土地を明け渡すべき義務を負う法律関係にあり」
契約関係がなくても利害関係を認める根拠
「建物賃借人は、敷地の地代を弁済し、敷地の賃借権が消滅することを防止することに法律上の利益を有するものと解される」
「法律上の利益」の中身を示した部分
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