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東京電力塩山営業所事件

最判昭和63年2月5日

使用者による政党所属の調査は、必要性があり不利益示唆も強要もない限り違法とならないとした判例

憲法思想・良心の自由本試験で 5 問(短答 5・論文 0)

出題:司法H23・司法H26・司法R5・予備H23・予備R2

解説

事案

企業の営業所長が、従業員Xに対し、特定政党の党員であるか否かを尋ね、党員でない旨の書面の提出を求めた。Xはこれを、自己の思想・信条(政党所属)に関わる精神的自由を侵害する違法行為であるとして、法的責任を追及した。

  • 問題となった場面は、企業の秩序維持・調査の必要と、労働者の思想・良心の自由(憲法19条)とが衝突する場面である。
  • 当事者は使用者と労働者であり、国家と個人の関係ではない。
  • 最高裁は、所長の行為は違法でないとして、Xの請求を認めなかった。

争点

  • 使用者が労働者に対し特定政党の党員か否かを尋ね、書面の提出を求める調査行為は、労働者の思想・良心の自由を侵害する違法行為となるか
  • 上記の調査行為が違法となるか否かの判断基準

判旨

結論:所長の行為は違法でないとし、Xの請求を認めなかった。

規範:使用者が労働者の思想・信条や団体加入状況(特定政党の党員か否か)を調査する行為は、それ自体で当然に違法となるものではない。社会的に許容しうる限界を超えて精神的自由を侵害した場合に、初めて違法となる。

本件では、次の3点が認められた。

  • 調査の必要性があること
  • 回答しなければ不利益な取扱いを受けるおそれがあることを示唆していないこと
  • 書面の提出要求が強要にわたっていないこと

これらを満たす限り、政党所属の調査も社会的に許容しうる限界を超えず、違法とはいえないとされた。

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