共産党袴田事件
政党の党員処分には、内部問題にとどまる限り審判権が及ばず、権利侵害があっても審理は手続の適正に限られる
出題:司法H22・司法H28・司法H29・司法R3・司法R4・司法R5・司法R7・予備H28・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和60(オ)4 家屋明渡等請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第155号405頁
- 参照法条
- 裁判所法3条1項,民法第1編第4章第1節(総則)
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 政党が党員にした処分に対する裁判所の審判権の有無 二 政党が党員にした処分の当否についての審理の基準
裁判要旨
一 政党が党員に対してした処分は、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権が及ばない。 二 政党が党員に対してした処身の当否は、政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則つてされたか否かによつて決すべきである。
解説
事案
被上告人は政党である。被上告人と上告人の間では、上告人が党幹部の地位にあることを前提に、その任務の遂行を保障する目的で、党施設である本件建物を上告人に使用収益させる契約が結ばれていた。その後、被上告人は上告人を除名した。被上告人は、除名を理由に、本件建物の明渡しと賃料相当損害金の支払を求めて提訴した。
原審は、被上告人が党規約という自律的規範を持ち、本件除名処分がその規約に則って行われたと認定し、請求を認めた。上告人は、除名処分の違法やそれを前提とする違憲を主張して上告した。最高裁は上告を棄却した。
争点
- 政党が党員にした処分に対し、裁判所の審判権(裁判所法3条1項の「法律上の争訟」)は及ぶか
- 処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合、裁判所はどの基準で、どの範囲まで処分の当否を審理するか
判旨
上告棄却。判断の枠組みは次の3点である。
- 審判権の有無:政党が党員にした処分が、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばない。
- 審理の基準:処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合でも、処分の当否は次の基準で決する。政党が自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情がない限りその規範に照らし、規範がないときは条理に基づき、適正な手続に則ってされたか否かで判断する。
- 審理の範囲:審理もこの点に限られる。
本件では、建物明渡請求自体は司法審査の対象となる。ただし、請求原因である除名処分の当否は、適正手続を履践したか否かの観点から審理される。被上告人は党規約を有し、除名は規約に則って行われた。規約が公序良俗に反するなどの特段の事情の主張立証もないから、手続に違法はなく、除名は有効である。
判決文から
「政党に対しては、高度の自主性と自律性を与えて自主的に組織運営をなしうる自由を保障しなければならない。」
政党の自律権を基礎づける出発点
「政党が党員に対してした処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、裁判所の審判権は及ばないというべきであり」
審判権が及ばない範囲を画する規範
「右処分の当否は、当該政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の事情のない限り右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、適正な手続に則つてされたか否かによつて決すべきであり」
権利侵害がある場合の審査基準(手続審査)
「右請求が司法審査の対象になることはいうまでもないが、他方、右請求の原因としての除名処分は、本来、政党の内部規律の問題としてその自治的措置に委ねられるべきものであるから」
請求自体は審査対象、前提問題は手続審査
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
