SaySayLaw

最判昭和62年6月5日

所有者と称する無権限者から土地を賃借し、賃料を払い続けた者に、真の所有者に対する賃借権の時効取得を認めた

民法物権総論・物権変動時効用益物権本試験で 2 問(短答 1・論文 1)

出題:司法H24・司法H29

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
昭和60(オ)615 建物収去土地明渡
裁判
判決・棄却
判例集
集民 第151号135頁
参照法条
民法163条,民法601条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

土地賃借権の時効取得が認められるとされた事例

裁判要旨

甲所有の土地を買い受けてその所有権を取得したと称する乙から右土地を賃借した丙が、右賃貸借契約に基づいて平穏公然に目的土地の占有を継続し、乙に対し賃料を支払つているなど判示の事情のもとにおいては、丙は、民法一六三条の時効期間の経過により、甲に対して右土地の賃借権を時効取得することができる。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

本件土地はもと上告人らの祖父Dの所有で、上告人らはDの相続人Eら10名から共有持分の贈与を受け、昭和43年4月8日に持分移転登記を経た。Fは昭和3年の大火の後まもなくDから土地の提供を受け、本件建物を建てた。建物は家督相続によりG、さらにHへ承継された。

Iは昭和25年5月12日、Hから建物を買い受けると同時に、敷地である本件土地を建物所有目的・年賃料1600円で賃借した。その際Hは、「土地はFがDから買い受けたが、なお問題がある。Iに不利益が及べばHが責任を持つ」と約した。Iは建物に居住し、賃料をHの姉を通じてHに支払った。I死亡(昭和46年)後は相続人である被上告人らが地位を承継し、被上告人Bが居住して昭和55年分まで同様に賃料を払い続けた。この間、上告人らや前所有者から明渡しを求められたことはない。

上告人らが建物収去土地明渡しを求めたのに対し、被上告人らは、昭和25年5月12日から20年の経過による賃借権の時効取得を援用した。

争点

  • 土地の所有者と称する無権限者との賃貸借契約に基づき用益する者が、真の所有者に対する関係で土地賃借権を時効取得できるか(民法163条)
  • 賃借権の時効取得の要件である「賃借の意思に基づくことの客観的表現」の具体的な充足場面

判旨

上告棄却。被上告人らによる賃借権の時効取得を認めた。

  • 一般的規範(先例の確認):他人の土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときは、民法163条により土地賃借権を時効取得する。
  • 本判決の規範:他人の土地の所有者と称する者との間で締結された賃貸借契約に基づいて、賃借人が平穏公然に土地の継続的な用益をし、かつ賃料の支払を継続しているときは、上記要件を満たす。この場合、賃借人は民法163条所定の時効期間の経過により、土地の所有者に対する関係において賃借権を時効取得する。
  • 本件への当てはめ:Iは20年の時効期間を経た昭和45年5月12日の経過により、所有者である上告人らに対する関係で賃借権を時効取得した。被上告人らは相続によりこれを承継した。

判決文から

「他人の土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているときには、民法一六三条により、土地の賃借権を時効取得するものと解すべきこと」

賃借権時効取得の2要件(先例の規範)

「他人の土地の所有者と称する者との間で締結された賃貸借契約に基づいて、賃借人が、平穏公然に土地の継続的な用益をし、かつ、賃料の支払を継続しているときには、前記の要件を満たすものとして、」

無権限者との賃貸借でも要件充足とした点

「賃借人は、民法一六三条所定の時効期間の経過により、土地の所有者に対する関係において右土地の賃借権を時効取得するに至るものと解するのが相当である。」

真の所有者に対する関係で取得する点

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。