森林法共有林事件(森林法共有林分割制限事件)
持分2分の1以下の共有者の分割請求を否定する森林法186条を憲法29条2項違反とし、現物分割の柔軟な方法も認めた
出題:司法H22・司法H23・司法H25・司法H27・司法R2・司法R5・司法R7・司法R8・予備H25・予備H27
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和59(オ)805 共有物分割等
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第41巻3号408頁
- 参照法条
- 憲法29条1項,憲法29条2項,民法256条1項,民法258条,森林法186条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 森林法一八六条本文と憲法二九条二項 二 民法二五八条による共有物の現物分割と価格賠償の方法による調整 三 数か所に分かれて存在する多数の共有不動産についての民法二五八条による現物分割といわゆる一括分割 四 民法二五八条による多数共有者間の現物分割といわゆる一部分割
裁判要旨
一 森林法一八六条本文は、憲法二九条二項に違反する。 二 民法二五八条により共有物の現物分割をする場合には、その一態様として、持分の価格を超える現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせて過不足を調整することも許される。 三 数か所に分かれて存在する多数の共有不動産について、民法二五八条により現物分割をする場合には、これらを一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの不動産を各共有者の単独所有とすることも許される。 四 多数の者が共有する物を民法二五八条により現物分割する場合には、分割請求者の持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残す方法によることも許される。 (一につき補足意見、意見及び反対意見、二、四につき補足意見がある。)
解説
事案
上告人と被上告人は、父から本件森林の贈与を受け、持分各2分の1で共有していた。上告人は、民法256条1項に基づいて共有物分割等を求めて訴えを提起した。
当時の森林法186条は、明治40年森林法6条を受け継いだ規定で、共有森林については持分価額の過半数をもってする場合に限り分割請求を認めていた。そのため、持分価額2分の1以下の共有者には分割請求権がなかった。
原審(東京高裁)は、森林法186条は憲法29条2項に違反しないとした。そのうえで、持分2分の1にとどまる上告人には分割請求権がないとして分割請求を排斥した。上告人は、同条を合憲とした原判決には憲法29条の解釈適用の誤りがあるとして上告した。
争点
- 森林法186条(持分価額2分の1以下の共有者の分割請求権の否定)は憲法29条2項に違反するか
- 財産権規制の合憲性の判断枠組み
- 民法258条の現物分割で、価格賠償による過不足の調整が許されるか
- 数か所に分かれた多数の共有不動産を一括して分割できるか
- 多数共有者の一部が分割請求した場合に、請求者分のみを分割し、残りを共有として残せるか
判旨
結論:森林法186条は憲法29条2項に違反し無効である。持分価額2分の1以下の共有者にも民法256条1項本文が適用される。原判決中上告人敗訴部分を破棄し、差し戻した。
規範(財産権規制の合憲性)
- 規制が憲法29条2項の公共の福祉に適合するかは、規制の目的・必要性・内容、制限される財産権の種類・性質、制限の程度等を比較考量して決する。
- ただし、裁判所は立法府の比較考量に基づく判断を尊重すべきである。
- 違憲となるのは、次のいずれかにより立法府の判断が合理的裁量の範囲を超える場合に限られる。
- 規制目的が公共の福祉に合致しないことが明らかな場合
- 規制手段が目的達成の手段として必要性もしくは合理性に欠けることが明らかな場合
民法258条の現物分割
- 持分の価格を超える現物を取得する者に超過分の対価を支払わせる価格賠償による調整も、現物分割の一態様として許される。
- 数か所に分かれた多数の不動産を一括して分割対象とし、各共有者の単独所有とすることも許される(一括分割)。
- 多数共有者のうち一人が請求した場合、請求者に持分の限度で現物を分割し、残りは他の者の共有として残すことも許される(一部分割)。
判決文から
「財産権に対して加えられる規制が憲法二九条二項にいう公共の福祉に適合するものとして是認されるべきものであるかどうかは、規制の目的、必要性、内容、その規制によつて制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を比較考量して決すべきものである」
財産権規制の比較考量の基本枠組み
「規制目的が公共の福祉に合致するものであつても規制手段が右目的を達成するための手段として必要性若しくは合理性に欠けていることが明らかであつて、そのため立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるものとなる場合に限り」
立法裁量を前提とした違憲判断の基準
「共有物分割請求権は、各共有者に近代市民社会における原則的所有形態である単独所有への移行を可能ならしめ、右のような公益的目的をも果たすものとして発展した権利であり、共有の本質的属性として」
分割請求権の否定を財産権制限と位置づける前提
「森林法一八六条の立法目的と同条が共有森林につき持分価額二分の一以下の共有者に分割請求権を否定したこととの間に合理的関連性のないことは、これを見ても明らかであるというべきである」
目的と手段の合理的関連性を否定した部分
「持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることも現物分割の一態様として許されるものというべきであり」
価格賠償による調整を認めた民法上の判示
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
