勘違い騎士道事件
急迫不正の侵害を誤信し、相当性を逸脱した回し蹴りで死亡させた行為を誤想過剰防衛とし、傷害致死罪の成立と36条2項による減軽を是認した
出題:司法R5・司法R8・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和59(あ)1699 傷害致死
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第41巻2号182頁
- 参照法条
- 刑法36条,刑法38条,刑法205条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
傷害致死につき誤想過剰防衛であるとされた事例
裁判要旨
空手三段の在日外国人が、酩酊した甲女とこれをなだめていた乙男とが揉み合ううち甲女が尻もちをついたのを目撃して、甲女が乙男から暴行を受けているものと誤解し、甲女を助けるべく両者の間に割つて入つたところ、乙男が防衛のため両こぶしを胸に前辺りに上げたのを自分に殴りかかつてくるものと誤信し、自己及び甲女の身体を防衛しようと考え、とつさに空手技の回し蹴りを乙男の顔面付近に当て、同人を路上に転倒させ、その結果後日死亡するに至らせた行為は、誤信にかかる急迫不正の侵害に対する防衛手段として相当性を逸脱し、誤想過剰防衛に当たる。
解説
事案
空手三段の腕前を持つ被告人は、夜間に帰宅する途中の路上で、酩酊したA(女性)と、Aをなだめていた Bとが揉み合う場面を見た。その際Aが倉庫の鉄製シャッターにぶつかって尻もちをついたため、被告人はBがAに暴行を加えていると誤解した。被告人はAを助けようと両者の間に割って入り、Aを助け起こそうとした。次にBの方を振り向き、両手を差し出して近づいた。Bはこれを見て、防御のため手を握って胸の前辺りに上げた。被告人はこれを、ボクシングのファイティングポーズのような姿勢で自分に殴りかかってくるものと誤信した。そこで自己とAの身体を守ろうと考え、とっさにBの顔面付近を狙って空手技の回し蹴りをし、左足をBの右顔面付近に当てた。Bは路上に転倒して頭蓋骨骨折等の傷害を負い、8日後にこの傷害による脳硬膜外出血・脳挫滅で死亡した。原審は傷害致死罪の成立を認め、誤想過剰防衛として刑法36条2項により刑を減軽した。弁護人が上告した。
争点
- 急迫不正の侵害がないのにあると誤信し、誤信した侵害に対して相当性を逸脱した防衛行為をした場合(誤想過剰防衛)の罪責
- 誤想過剰防衛について故意犯(傷害致死罪)が成立するか
- 誤想過剰防衛に刑法36条2項による刑の減軽を認めることができるか
判旨
上告棄却(職権判断)。
- 被告人が誤信した「Bによる急迫不正の侵害」を前提としても、本件回し蹴りは防衛手段としての相当性を逸脱していることが明らかである。
- したがって被告人の行為には傷害致死罪(刑法205条)が成立する。
- 本件はいわゆる誤想過剰防衛に当たり、刑法36条2項により刑を減軽した原判断は正当である。
答案用の規範は次のとおりである。急迫不正の侵害を誤信した者が、誤信した侵害を前提としても防衛手段としての相当性を逸脱する行為に出た場合は誤想過剰防衛となる。このとき故意犯の成立は否定されず、刑法36条2項により刑の減軽(免除)がありうる。
判決文から
「同人がこれを見て防御するため手を握つて胸の前辺りにあげたのをボクシングのフアイテイングポーズのような姿勢をとり自分に殴りかかつてくるものと誤信し」
現実には侵害がなく、侵害を誤信した点
「本件回し蹴り行為は、被告人が誤信したBによる急迫不正の侵害に対する防衛手段として相当性を逸脱していることが明らかであるとし」
誤信した事実を前提に相当性を判断する枠組み
「被告人の所為について傷害致死罪が成立し、いわゆる誤想過剰防衛に当たるとして刑法三六条二項により刑を減軽した原判断は、正当である」
故意犯成立と36条2項減軽という結論
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
