最判昭和62年2月12日
帰属清算型譲渡担保の清算金の有無・額は、清算金の支払・提供、不足の通知、または第三者への売却等の時を基準に確定するとした判例
出題:司法R5・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和60(オ)568 所有権移転請求権仮登記の抹消登記手続
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第41巻1号67頁
- 参照法条
- 民法369条(譲渡担保)
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
帰属清算型の譲渡担保における清算金の有無及びその額の確定時期
裁判要旨
債務者所有の不動産に設定された譲渡担保が帰属清算型である場合、債権者の支払うべき清算金の有無及びその額は、債権者が債務者に対し清算金の支払若しくはその提供をした時若しくは目的不動産の適正評価額が債務額(評価に要した相当費用等の額を含む。)を上回らない旨の通知をした時、又は債権者において目的不動産を第三者に売却等をした時を基準として、確定されるべきである。,
解説
事案
上告人X(債務者)は、所有する土地(本件土地)に被上告人Y(債権者)のため譲渡担保を設定し、Yを権利者とする所有権移転請求権仮登記がされた。Yは昭和46年5月4日付の内容証明郵便で、貸金を同月20日までに返済するよう催告した。あわせて、期限までに支払がなければ本件土地をYの所有とする旨の意思表示をした。Xは期限までに支払わなかった。その後Yは、昭和57年5月10日に本件土地をDに7500万円で売却した。
Xは第一審で仮登記の抹消を求めたが、債務弁済の事実が認められず敗訴した。そこで原審で清算金支払請求に訴えを交換的に変更した。Xは処分清算型を前提に、Dへの売却時を基準として清算金を算定すべきと主張し、Yも売却時を基準とすること自体は争わなかった。
ところが原審は、当事者の主張がないまま本件を帰属清算型と認定した。そのうえで、意思表示の到達日(昭和46年5月7日)に権利が終局的にYに帰属し、清算の基準時も同日だと判断した。Xはこの時点での清算金について主張・立証していないとして、請求を棄却した。
争点
- 帰属清算型譲渡担保において、債務者の受戻権はいつまで存続するか
- 帰属清算型譲渡担保において、清算金の有無及びその額はいつを基準時として確定するか
- 目的不動産を確定的に自己の所有とする旨の意思表示だけで清算義務が確定するか
- 当事者が主張しない帰属清算型との認定をする際の裁判所の釈明義務
判旨
破棄差戻し。
実行の構造
- 債務者が履行を遅滞すると、債権者は目的不動産を処分する権能を取得する。
- 債権者は、目的不動産を適正評価額で確定的に自己に帰属させるか、第三者に売却等して換価し、被担保債権の弁済に充てる。剰余は清算金として債務者に支払う。
受戻権の存続期間(弁済期経過後も、担保権の実行完了までは、債務者は債務全額を弁済して所有権を回復できる)
- 帰属清算型:適正評価額が債務額を上回る場合は清算金の支払・提供まで、上回らない場合はその旨の通知まで。
- 処分清算型:第三者への処分の時まで。
清算金の確定時期
- 帰属清算型で、債権者が確定的に自己の所有に帰せしめる旨の意思表示をしただけでは、債務消滅の効果は生じない。清算金の有無・額も確定せず、清算義務は具体的に確定しない。
- 清算金の支払・提供や通知をせず、債務者も弁済しないうちに債権者が第三者に売却等をしたときは、その時点で債務者は受戻権ひいては所有権を終局的に失い、被担保債権が消滅する。清算金の有無・額は、この売却時を基準に確定する。
あわせて、当事者が処分清算型と主張しているのに、示唆もせず帰属清算型と認定した原審には、釈明権不行使・審理不尽の違法があるとした。
判決文から
「譲渡担保契約の目的は、債権者が目的不動産の所有権を取得すること自体にあるのではなく、当該不動産の有する金銭的価値に着目し、その価値の実現によつて自己の債権の排他的満足を得ることにあり」
受戻権・清算構造を導く担保的構成の根拠
「債権者が単に右の意思表示をしただけでは、未だ債務消滅の効果を生ぜず、したがつて清算金の有無及びその額が確定しないため、債権者の清算義務は具体的に確定しないものというべきである。」
帰属の意思表示だけでは清算義務が確定しない
「債務者はその時点で受戻権ひいては目的不動産の所有権を終局的に失い、同時に被担保債権消滅の効果が発生するとともに、右時点を基準時として清算金の有無及びその額が確定されるものと解するのが相当である。」
第三者への売却時が受戻権消滅・清算の基準時
「その場合に生ずべき事実上、法律上の問題点について当事者に主張・立証の機会を与えるべきであるのに、原審がその措置をとらなかつたのは、釈明権の行使を怠り、ひいて審理不尽の違法を犯したものといわざるを得ない。」
不意打ち認定に対する釈明義務違反
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
