最判昭和62年11月10日
集合動産譲渡担保の対抗要件は占有改定で備わり、後から加わった動産にも及ぶ。動産売買先取特権者の競売を第三者異議で排除できる。
出題:司法R4・司法R5
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和57(オ)1408 第三者異議
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第41巻8号1559頁
- 参照法条
- 民法85条,民法178条,民法181条,民法183条,民法333条,民法369条(譲渡担保),民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549条1項,競売法3条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力 二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権と動産売買先取特権に基づいてされた動産競売の不許を求める第三者異議の訴え 三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において目的物の範囲が特定されているとされた事例
裁判要旨
一 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によつて占有権を取得する旨の合意があり、譲渡担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対抗要件具備の効力は、新たにその構成部分となつた動産を包含する集合物に及ぶ。 二 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権者は、特段の事情のない限り、第三者異議の訴えによつて、動産売買先取特権者が右集合物の構成部分となつた動産についてした競売の不許を求めることができる。 三 構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において、目的動産の種類及び量的範囲が普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品と、その所在場所が譲渡担保権設定者の倉庫内及び同敷地・ヤード内と指定されているときは、目的物の範囲が特定されているものというべきである。
解説
事案
被上告会社(鋼材の売主)は、昭和50年2月1日、買主であるD産業(訴外会社)と根譲渡担保権設定契約を結んだ。被担保債権は、訴外会社が負う現在および将来の商品代金その他一切の債務で、極度額は20億円である。目的物は、訴外会社の第1〜第4倉庫内と同敷地・ヤード内を保管場所として、そこに現に存在する普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品とした。その所有権を被上告会社に移し、占有改定で引渡しを完了したものとした。あわせて、訴外会社が将来同種・類似の物件を製造・取得したときは原則としてすべて保管場所に搬入し、それも当然に譲渡担保の目的となることをあらかじめ承諾した。被上告会社の売掛代金債権は約30億円に達した。その後、訴外会社は上告会社から異形棒鋼(本件物件、価額約585万円)を買い受け、保管場所に搬入した。上告会社は、本件物件について動産売買先取特権を主張し、競売法3条による競売を申し立てた。これに対し被上告会社が第三者異議の訴えを提起した。原審は被上告会社の請求を認め、最高裁は上告を棄却した。
争点
- 構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保の目的物の特定(本件契約で範囲が特定されているか)
- 集合物譲渡担保の対抗要件の具備方法と、構成部分変動後の集合物(新たに加わった動産)への効力
- 集合物譲渡担保権者が民法333条の「第三取得者」にあたり、動産売買先取特権に基づく競売の不許を第三者異議の訴えで求めうるか
判旨
請求認容の結論を維持し、上告を棄却した。規範は次の3つである。
- 特定:構成部分の変動する集合動産でも、種類・所在場所・量的範囲を指定するなどの方法で目的物の範囲が特定されれば、一個の集合物として譲渡担保の目的となる(最判昭和54年2月15日を引用)。本件の「第1〜第4倉庫内及び同敷地・ヤード内の普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品」は特定されている。
- 対抗要件:債務者が構成部分である動産の占有を取得したときは債権者が占有改定で占有権を取得する、という合意がある。この合意に基づき、債務者が構成部分として現に存在する動産の占有を取得すれば、債権者は集合物譲渡担保権の対抗要件を備える。その効力は、構成部分が変動しても、集合物としての同一性が損なわれない限り、新たに構成部分となった動産を含む集合物に及ぶ。
- 先取特権との関係:先取特権の付着した動産が集合物の構成部分となった場合、債権者はその動産についても引渡しを受けたものとして譲渡担保権を主張できる。特段の事情のない限り、債権者は民法333条の第三取得者にあたる。したがって、第三者異議の訴えによって先取特権に基づく動産競売の不許を求めることができる。
判決文から
「構成部分の変動する集合動産であつても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法によつて目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる」
集合物譲渡担保の特定性の基準(昭和54年判決の確認)
「債務者が右集合物の構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、債権者は、当該集合物を目的とする譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至つたものということができ」
対抗要件は占有改定で備わるという規範
「この対抗要件具備の効力は、その後構成部分が変動したとしても、集合物としての同一性が損なわれない限り、新たにその構成部分となつた動産を包含する集合物について及ぶものと解すべきである。」
後から加わった動産にも対抗力が及ぶ。同一性が限界
「特段の事情のない限り、民法三三三条所定の第三取得者に該当するものとして、訴えをもつて、右動産競売の不許を求めることができるものというべきである。」
333条の第三取得者に該当し、第三者異議で競売を排除できる
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
