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青色申告事件

最判昭和62年10月30日

租税法律関係で信義則を適用するには「特別の事情」が必要であり、公的見解の表示とその信頼などの考慮が不可欠だとした判例

行政法行政法の一般原則財政・地方自治本試験で 4 問(短答 2・論文 2)

出題:司法R5・予備H27・予備H30・予備R3

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和60(行ツ)125 相続税更正処分等取消、所得税更正処分等取消
裁判
判決・破棄差戻
判例集
集民 第152号93頁
参照法条
国税通則法24条,所得税法1条,民法1条2項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

課税処分と信義則の適用

裁判要旨

租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用による違法を考え得るのは、納税者間の平等公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合でなければならず、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たつては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示し、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになつたものかどうか、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責に帰すべき事由がないかどうか、という点の考慮が不可欠である。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被上告人は、実兄で養父でもあるDが営む酒類販売業に従事していた。昭和29年11月ころからは、事実上被上告人が中心となって業務を運営していた。Dは青色申告の承認を受けており、昭和29年分から45年分まではD名義で青色申告がされていた。

昭和46年分について、被上告人は自ら青色申告の承認を受けないまま、自己名義で青色申告書による確定申告をした。税務署長(上告人)は承認の有無の確認を怠り、申告書を受理した。さらに昭和47年分から50年分まで、被上告人に青色申告用紙を送付し、青色申告書による申告を受理して税額を収納してきた。帳簿書類の整備保存態勢に変化はなかった。昭和51年3月に承認申請がないことを指摘されると、被上告人は直ちに申請し、同年分以降の承認を受けた。

税務署長は、昭和48年分・49年分の申告を白色申告とみなして更正処分をした。原審は、この処分を信義則違反で違法とした。

争点

  • 青色申告の承認を受けていない納税者の青色申告書による申告に、青色申告としての効力を認める余地があるか
  • 租税法規に適合する課税処分が信義則の法理により違法となるのはどのような場合か
  • 申告書の受理・税額の収納・青色申告用紙の送付が、信頼の対象となる「公的見解の表示」に当たるか

判旨

結論:原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、福岡高裁に差し戻した。

青色申告の効力

  • 青色申告の承認は、特典を伴う青色申告書で申告できる法的地位を付与する設権的処分である。
  • したがって、承認を受けていない以上、事業を承継した場合でも、青色申告としての効力を認める余地はなく、白色申告として扱うべきである。

規範(信義則)

  • 租税法律主義が貫かれる租税法律関係では、信義則の適用は慎重でなければならない。
  • 納税者間の平等・公平という要請を犠牲にしてもなお、課税を免れさせて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえる特別の事情がある場合に、初めて適用の是非を考えるべきである。
  • 特別の事情の判断に当たっては、少なくとも次の考慮が不可欠である。
  • ①税務官庁が信頼の対象となる公的見解を表示し、納税者がこれを信頼して行動したところ、後に表示に反する課税処分が行われ、経済的不利益を受けたか
  • ②納税者が表示を信頼して行動したことについて、納税者の責めに帰すべき事由がないか

あてはめ:申告書の受理・税額の収納・用紙送付は公的見解の表示に当たらず、信義則の適用を考える余地はない。

判決文から

「法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず」

信義則適用を慎重にすべき根拠

「租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。」

「特別の事情」の規範そのもの

「少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、のちに右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになつたものであるかどうか」

考慮が不可欠な要素(公的見解・信頼・不利益)

「税務署長による申告書の受理及び申告税額の収納は、当該申告書の申告内容を是認することを何ら意味するものではない」

受理・収納は公的見解の表示でない

「本件更正処分が上告人の被上告人に対して与えた公的見解の表示に反する処分であるということはできないものというべく」

あてはめの結論部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。