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最判昭和61年9月4日

相殺の抗弁で請求を棄却した一審判決に原告だけが控訴した場合、訴求債権が存在しなくても控訴棄却にとどめるとした判例

民事訴訟法上訴・再審処分権主義訴訟行為・期日期間本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法H25・予備H30

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和60(オ)1563 貸金
裁判
判決・破棄自判
判例集
集民 第148号417頁
参照法条
民法90条,民訴法199条2項,民訴法384条,民訴法385条,民訴法386条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 賭博の用に供されることを知つてする金銭の消費貸借契約と公序良俗違反 二 相殺の抗弁を容れて原告の請求を棄却した第一審判決に対し原告のみが控訴した場合と不利益変更禁止の原則

裁判要旨

一 賭博の用に供されることを知つてする金銭の消費貸借契約は、公序良俗に違反し無効である。 二 原告の訴求債権の存在を認めながら被告の相殺の抗弁を容れ原告の請求を棄却した第一審判決に対し、原告のみが控訴し被告が控訴も附帯控訴もしなかつた場合において、控訴審が、被告の相殺の抗弁について判断するまでもなく、訴求債権の不存在を理由に原告の請求を棄却すべきときは、不利益変更禁止の原則に従い、第一審判決を維持して、原告の控訴を棄却するにとどめなければならない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被上告人(原告)は、上告人Aに金銭を貸し付けた。その際、原告はこの金銭が賭場開張の資金に使われることを知っていた。原告は上告人ら(被告)に貸金の返還を求めて訴えを提起した。

  • 第一審:消費貸借契約は公序良俗に違反しないとして、貸金債権の成立を認めた。そのうえで、被告らが主張する反対債権(売買代金返還請求債権)との相殺によって貸金債権は全額消滅したとし、請求を棄却した。
  • 控訴:原告のみが控訴し、被告らは控訴も附帯控訴もしなかった。
  • 原審(仙台高裁):貸金債権の有効な成立を認めた。反対債権は認められないとして相殺の抗弁を排斥し、控訴審で拡張された部分を含めて請求を認容した。
  • 上告:被告らが原判決の全部について上告した。

争点

  • 賭博の用に供されることを知ってする金銭消費貸借契約は公序良俗違反(民法90条)で無効か
  • 相殺の抗弁を容れて請求を棄却した第一審判決に原告のみが控訴した場合、控訴審が訴求債権の不存在を認定したとき、第一審判決を取り消して請求棄却とすることは不利益変更禁止の原則に反するか

判旨

原判決を破棄し、自判した。被上告人の控訴を棄却し、原審での請求拡張部分を棄却した。

  • 規範1:貸与される金銭が賭博の用に供されることを知ってする金銭消費貸借契約は、公序良俗に反し無効である(民法90条)。
  • 規範2:次の場合には、控訴審は第一審判決を取り消して請求棄却判決をしてはならない。それは控訴人に不利益であり、不利益変更禁止の原則(旧民訴法385条、現304条)に反するからである。控訴審は相殺の抗弁を採用した第一審判決を維持し、控訴を棄却するにとどめなければならない。
  • 第一審が、訴求債権の成立を認めつつ相殺の抗弁を採用して請求を棄却した。
  • 原告のみが控訴し、被告は控訴も附帯控訴もしていない。
  • 控訴審が、訴求債権の有効な成立そのものを否定した。

判決文から

「貸与される金銭が賭博の用に供されるものであることを知つてする金銭消費貸借契約は公序良俗に違反し無効であると解するのが相当である」

民法90条の実体法上の規範

「第一審判決を取り消して改めて請求棄却の判決をすることは、民訴法一九九条二項に徴すると、控訴した原告に不利益であることが明らかであるから、不利益変更禁止の原則に違反して許されない」

相殺の既判力を根拠に不利益性を認めた核心部分

「控訴審としては被告の主張した相殺の抗弁を採用した第一審判決を維持し、原告の控訴を棄却するにとどめなければならないものと解するのが相当である」

控訴審がとるべき処理(控訴棄却)の結論

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。