最判昭和61年4月11日
債権の二重譲渡で、対抗要件の具備に後れた譲受人への弁済にも民法478条が適用される。ただし無過失には「相当な理由」が必要とした判例
出題:司法H26・予備H26
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和57(オ)272 運送代金
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第40巻3号558頁
- 参照法条
- 民訴法232条,破産法244条1項,破産法246条1項,民法467条,民法478条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 上告審における被告の破産と破産債権確定訴訟への訴えの変更 二 指名債権が二重に譲渡された場合に対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済と民法四七八条の適用 三 二重に譲渡された指名債権の債務者が対抗要件を後れて具備した譲受人に対してした弁済について過失がないというための要件
裁判要旨
一 給付訴訟の上告審係属中に被告が破産宣告を受け破産管財人が訴訟手続を受継した場合には、原告は、上告審において、右給付の訴えを破産債権確定の訴えに変更することができる。 二 指名債権が二重に譲渡された場合に、民法四六七条二項所定の対抗要件を後れて具備した譲受人に対してされた弁済についても、同法四七八条の適用がある。 三 二重に譲渡された指名債権の債務者が民法四六七条二項所定の対抗要件を後れて具備した譲受人を真の債権者であると信じてした弁済について過失がないというためには、対抗要件を先に具備した譲受人の債権譲受又は対抗要件に瑕疵があるためその効力を生じないと誤信してもやむを得ない事情があるなど対抗要件を後れて具備した譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当な理由があることを要する。
解説
事案
上告人Xは、訴外会社Aから、A の債務者B(後の破産会社)に対する運送代金債権の譲渡を受けた。Aは確定日付のある書面で譲渡を通知し、通知は昭和54年6月28日ころBに到達した。Xは債権の一部の支払を受けた。
その後Aは、Xの債務不履行を理由に譲渡を解除するとBに通知した。しかし解除はAの誤解に基づくもので、同年9月1日ころ撤回の通知がされた。
この間、Aの債権者Gが、本件債権の一部(本件債権部分)について仮差押命令(8月15日)と債権差押・取立命令(11月1日)を得て、それぞれBに送達された。Bは、解除で債権がAに戻ったと信じていた。撤回通知に不審を抱かなくはなかったが、取立命令の送達とGの代理人弁護士からの再三の催告を受け、裁判所の判断に過誤はないと考えてGに支払った。
XはBに残額を請求したが、一・二審は大部分を棄却した。上告審係属中にBが破産し、破産管財人Yが異議を述べて訴訟を受継した。Xは、Yの同意を得て、破産債権確定の訴えに変更した。
争点
- 給付訴訟の上告審係属中に被告が破産した場合、上告審で破産債権確定の訴えに変更できるか
- 二重譲渡で対抗要件を後れて具備した譲受人(劣後譲受人)への弁済に民法478条が適用されるか
- 劣後譲受人への弁済について、債務者が無過失といえるための要件
判旨
結論:破産会社Bの弁済には過失があり、Gへの弁済は無効である。Xの破産債権を確定した。
- 訴えの変更:給付訴訟の上告審係属中に被告が破産宣告を受け、破産管財人が届出債権に異議を述べて受継した場合、原告は上告審で破産債権確定の訴えに変更できる。
- 478条の適用:指名債権が二重に譲渡された場合、民法467条2項の対抗要件を後れて具備した劣後譲受人への弁済にも、民法478条が適用される。ここでいう「譲受人」には、同一債権に仮差押命令・差押取立命令の執行をした者も含む。
- 善意:弁済者が弁済請求者を真正の受領権者と信じたことをいう。
- 無過失の規範:債務者が無過失といえるには、優先譲受人の債権譲受行為または対抗要件に瑕疵があるため効力を生じないと誤信してもやむを得ない事情があるなど、劣後譲受人を真の債権者と信ずるにつき相当な理由があることを要する。
判決文から
「右規定は、債務者の劣後譲受人に対する弁済の効力についてまで定めているものとはいえず、その弁済の効力は、債権の消滅に関する民法の規定によつて決すべきものであり」
467条2項と弁済の効力を切り分けた核心部分
「右優先譲受人は、債権の準占有者たる劣後譲受人に対して弁済にかかる金員につき不当利得として返還を求めること等により、対抗要件具備の効果を保持しえないものではない」
対抗要件制度を損なわないとする説明
「優先譲受人の債権譲受行為又は対抗要件に瑕疵があるためその効力を生じないと誤信してもやむを得ない事情があるなど劣後譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当な理由があることが必要であると解すべきである」
無過失の判断基準(相当な理由)
「Gの得た前記の仮差押命令及び差押・取立命令が裁判所の発したものであるとの一事をもつて、いまだ破産会社にGが真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があつたということはできない」
裁判所の命令だけでは無過失にならない
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
