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品川マンション事件

最判昭和60年7月16日

行政指導に協力できない旨を真摯かつ明確に表明した建築主に対し、特段の事情なく建築確認を留保するのは国賠法上違法とした判例

行政法行政契約・行政指導行政手続法行政法の一般原則本試験で 10 問(短答 10・論文 0)

出題:司法H24・司法H25・司法H26・予備H28・予備H30

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和55(オ)309 損害賠償
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第39巻5号989頁
参照法条
建築基準法6条3項,建築基準法6条4項,国家賠償法1条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

建築主と付近住民との紛争につき建築主に行政指導が行われていることのみを理由として建築確認申請に対する処分を留保することと国家賠償法一条一項所定の違法性

裁判要旨

建築主が、建築確認申請に係る建築物の建築計画をめぐつて生じた付近住民との紛争につき関係機関から話合いによつて解決するようにとの行政指導を受け、これに応じて住民と協議を始めた場合でも、その後、建築主事に対し右申請に対する処分が留保されたままでは行政指導に協力できない旨の意思を真摯かつ明確に表明して当該申請に対し直ちに応答すべきことを求めたときは、行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで右申請に対する処分を留保することは、国家賠償法一条一項所定の違法な行為となる。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

建築主X(被上告人・附帯上告人)は、昭和47年10月28日にマンション(本件建築物)の建築確認を申請した。

  • 同年12月、上告人Y(地方公共団体)の紛争調整担当職員から、建築に反対する付近住民と話し合って円満に解決するよう行政指導を受けた。
  • Xはこれに応じて住民と十数回話し合い、職員の助言にも積極的・協力的に対応した。
  • Yは昭和48年2月15日、同年4月19日実施予定の新高度地区案を発表した。あわせて、既に確認申請をしている建築主にも新高度地区案に沿う設計変更を求めること、住民との紛争が解決しなければ確認処分をしないことを指導方針とした。
  • 同月23日、職員はXの代表社員に設計変更による協力を依頼し、話合いの継続を勧告した。
  • Xは、新高度地区の実施前に解決するのは難しく、設計変更を強いられれば多大な損害を被るおそれがあると判断した。そこで、もはや指導には服さないこととし、同年3月1日受付で東京都建築審査会に「本件確認申請に対してすみやかに何らかの作為をせよ」との趣旨の審査請求を申し立てた。

Xは確認処分の遅滞につき国家賠償を請求した。原審は3月1日以降の遅滞についてYの責任を肯定し、最高裁は上告・附帯上告をいずれも棄却した。

争点

  • 建築基準法6条の応答期限のもとで、建築主事が確認処分を留保することが許される場合があるか
  • 付近住民との紛争解決を求める行政指導が行われていることを理由とする確認処分の留保が、どのような場合に国家賠償法1条1項上違法となるか

判旨

建築主事は、処分要件が具備されれば速やかに確認処分を行う義務を負う。ただし、この義務は例外を許さない絶対的義務ではない。

  • 建築主が留保に任意に同意している場合、または諸般の事情から応答を留保することが法の趣旨目的に照らし社会通念上合理的と認められる場合には、留保は違法な遅滞とはいえない。
  • 建築主が行政指導に任意に応じているときは、社会通念上合理的な期間、確認を留保して指導の結果に期待しても、直ちに違法とはいえない。

規範:建築主が、確認処分を留保されたままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明し、直ちに応答すべきことを求めている場合を考える。このときは、建築主の受ける不利益と指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、不協力が社会通念上正義の観念に反するといえる特段の事情がない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を留保することは違法となる。

あてはめ:本件では、昭和48年3月1日の審査請求の申立てが上記の意思表明にあたる。特段の事情もないから、同日以降の留保は違法であり、建築主事には少なくとも過失がある。

判決文から

「建築主事が当該確認申請について行う確認処分自体は基本的に裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものと解するのが相当である」

建築確認の羈束的性格を示し、速やかな処分義務の前提となる

「諸般の事情から直ちに確認処分をしないで応答を留保することが法の趣旨目的に照らし社会通念上合理的と認められるときは、その間確認申請に対する応答を留保することをもつて、確認処分を違法に遅滞するものということはできない」

留保が許容される場合の一般基準

「右のような確認処分の留保は、建築主の任意の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものである」

留保の正当化根拠が任意性にあることを示す

「右行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を留保することは、違法であると解するのが相当である」

違法性判断の中心的規範(特段の事情の留保)

「確認処分を留保されたままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明し、当該確認申請に対し直ちに応答すべきことを求めているものと認められるときには」

違法となる時点を画する意思表明の要件

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。