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最判昭和60年5月23日

物上保証人所有不動産の後順位抵当権者の優先、代位権不行使特約の効力、一部代位者は配当で債権者に劣後することを示した判例

民法弁済・相殺本試験で 3 問(短答 2・論文 1)

出題:司法H23・司法H25・予備R7

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和56(オ)1175 配当異議
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第39巻4号940頁
参照法条
民法304条,民法351条,民法372条,民法392条2項,民法500条,民法501条,民法502条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産に債権者を異にする後順位抵当権が設定され乙不動産が先に競売された場合に甲不動産から弁済を受けるときにおける甲不動産の後順位抵当権者と乙不動産の後順位抵当権者の優劣 二 物上保証人がその所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で代位権不行使の特約をした場合と物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者の優先弁済を受ける権利 三 債権の一部につき代位弁済がされた場合の競落代金の配当についての債権者と代位弁済者との優劣

裁判要旨

一 共同抵当の目的である債務者所有の甲不動産及び物上保証人所有の乙不動産にそれぞれ債権者を異にする後順位抵当権が設定されている場合において、乙不動産が先に競売されて一番抵当権者が弁済を受けたときは、乙不動産の後順位抵当権者は、物上保証人に移転した甲不動産に対する一番抵当権から甲不動産の後順位抵当権者に優先して弁済を受けることができる。 二 物上保証人が、その所有の不動産及び債務者所有の不動産につき共同抵当権を有する債権者との間で、債権者の同意がない限り弁済等により取得する権利を行使しない旨の特約をしても、物上保証人所有の不動産の後順位抵当権者は、物上保証人が弁済等により代位取得する抵当権から優先弁済を受ける権利を失わない。 三 債権の一部につき代位弁済がされた場合、右債権を被担保債権とする抵当権の実行による競落代金の配当については、代位弁済者は債権者に劣後する。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

上告人Xは、債務者D観光に対する債権を担保するため、D観光所有の建物等(第三者所有不動産を含む。本件建物等)と、物上保証人E・F商産所有の本件土地等に、第一順位の共同根抵当権の設定を受けた。その後、本件建物等に2番・3番、本件土地等に3番・4番の根抵当権の設定も受けた。被上告人Yは、Eらへの貸金債権を担保するため、本件土地等に第二順位の抵当権を有していた。Eは根抵当権設定の際、Xに代位して取得する権利を、XとD観光の取引継続中はXの同意なく行使しない旨を合意していた(代位権不行使特約)。

Xの申立てで本件土地等が先に競売され、Xは約1782万円の弁済を受けた。次いで本件建物等が6億円で競売された。地方裁判所は、Yの抵当権を本件建物等上のXの2番・3番根抵当権に優先させる交付表を作成し、Xが配当異議を述べた。

争点

  • 債務者所有不動産と物上保証人所有不動産の共同抵当で、物上保証人所有不動産が先に競売された場合、両不動産の後順位抵当権者のどちらが優先するか
  • 物上保証人と債権者の代位権不行使特約は、物上保証人所有不動産の後順位抵当権者の優先弁済権を失わせるか
  • 一部代位の場合、抵当権実行による配当で債権者と代位弁済者のどちらが優先するか

判旨

上告棄却。判旨は3点である。

  • 後順位抵当権者の優劣:物上保証人所有不動産が先に競売され一番抵当権者が弁済を受けたときは、物上保証人は債務者への求償権を取得し、代位により債務者所有不動産上の一番抵当権を取得する。物上保証人所有不動産の後順位抵当権者は、物上保証人に移転したこの抵当権から、債務者所有不動産の後順位抵当権者に優先して弁済を受けられる(最判昭和53年7月4日参照)。
  • 代位権不行使特約:債権者の同意なく代位取得した権利を行使しない旨の特約があっても、物上保証人所有不動産の後順位抵当権者の優先弁済権は左右されない。
  • 一部代位:債権者が物上保証人設定の抵当権の実行で債権の一部の満足を得た場合、物上保証人は旧502条1項により債権者とともに抵当権を行使できる。しかし抵当権実行時の代金配当では、債権者が代位者に優先する。

判決文から

「物上保証人に移転した右抵当権から債務者所有の不動産についての後順位抵当権者に優先して弁済を受けることができるものと解するのが相当である」

物上保証人側の後順位抵当権者が優先するとの規範

「後順位抵当権者が物上保証人の取得した一番抵当権にあたかも物上代位するようにこれを行使しうることによるものである」

後順位抵当権者の優先の法的構成(物上代位類似)

「右特約は、物上保証人が弁済等をしたときに債権者の意思に反して独自に抵当権等の実行をすることを禁止するにとどまり」

代位権不行使特約の効力の限定

「この抵当権が実行されたときには、その代金の配当については債権者に優先されると解するのが相当である。」

一部代位者は配当で債権者に劣後するとの結論

「弁済による代位は代位弁済者が債務者に対して取得する求償権を確保するための制度であり、そのために債権者が不利益を被ることを予定するものではなく」

債権者優先の理由づけ(代位制度の趣旨)

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。