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在宅投票制度廃止事件

最判昭和60年11月21日

国会議員の立法行為(立法不作為を含む)は、憲法の一義的文言違反など例外的場合でない限り、国賠法上違法とならないとした判例

憲法国家賠償法1条違憲審査制・憲法訴訟参政権・国務請求権本試験で 7 問(短答 7・論文 0)

出題:司法H22・司法H23・司法H28・司法R4・予備H23・予備H28・予備R5

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和53(オ)1240 損害賠償
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第39巻7号1512頁
参照法条
国家賠償法1条1項,公職選挙法49条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 国会議員の立法行為と国家賠償責任 二 在宅投票制度を廃止しこれを復活しなかつた立法行為の違法性の有無

裁判要旨

一 国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらずあえて当該立法を行うというごとき例外的な場合でない限り、国家賠償法一条一項の適用上、違法の評価を受けるものではない。 二 在宅投票制度を廃止しこれを復活しなかつた立法行為は、国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たらない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

公職選挙法と同法施行令は、疾病・負傷・身体障害などで歩行が著しく困難な選挙人(在宅選挙人)が、投票所に行かずに自分のいる場所で投票できる在宅投票制度を定めていた。昭和26年4月の統一地方選挙でこの制度が悪用され、選挙無効・当選無効の争訟が続出した。そこで国会は昭和27年の公選法改正で制度を廃止し、その後も復活させなかった(廃止と不作為をあわせて「本件立法行為」という)。

上告人Xは小樽市に住む選挙権者である。昭和6年に屋根の雪降ろし中に転落して歩行困難となった。昭和28年の参院選では車椅子で投票したが、昭和30年頃から車椅子に乗ることも著しく困難になり、担架等によらなければ投票所に行けなくなった。そのため昭和43年から47年までの計8回の国政・地方選挙で投票できなかった。

Xは、在宅投票制度は憲法上必須の制度であり、本件立法行為は憲法13条、14条1項、15条1項・3項、44条、47条、93条に違反する違法な公権力の行使だと主張した。そして精神的損害について国賠法1条1項に基づく損害賠償を請求した。原審(札幌高裁)は請求を棄却し、Xが上告した。

争点

  • 国会議員の立法行為(立法不作為を含む)が国家賠償法1条1項の適用上違法となるのはどのような場合か
  • 立法内容の違憲性と国賠法上の違法性は同じか
  • 在宅投票制度を廃止し復活しなかった本件立法行為は国賠法1条1項上違法か

判旨

上告棄却(原審の請求棄却を結論において是認)。

規範

  • 国賠法1条1項の違法は、公務員が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したかどうかの問題である。
  • そのため立法行為の国賠法上の違法は、立法内容の違憲性とは区別される。立法内容に違憲の廉があっても、直ちに違法とはならない。
  • 国会議員は、立法に関しては原則として国民全体に対する政治的責任を負うにとどまり、個別の国民の権利に対応した法的義務を負わない。
  • したがって国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国賠法1条1項の適用上違法の評価を受けない。

あてはめ

  • 憲法には在宅投票制度の設置を積極的に命じる明文がない。
  • かえって憲法47条は、投票の方法など選挙に関する事項の具体的決定を、原則として国会の裁量に委ねている。
  • よって本件立法行為が例外的場合に当たる余地はなく、違法ではない。

判決文から

「国会議員の立法過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したかどうかの問題であつて、当該立法の内容の違憲性の問題とは区別されるべきであり」

違憲性と国賠法上の違法性の区別(職務行為基準)

「国会議員は、立法に関しては、原則として、国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり、個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではないというべきであつて」

原則として個別国民への法的義務を否定

「立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法一条一項の規定の適用上、違法の評価を受けないものといわなければならない。」

例外的違法の定式(本判決の規範)

「投票の方法その他選挙に関する事項の具体的決定を原則として立法府である国会の裁量的権限に任せる趣旨であることは」

憲法47条の立法裁量があてはめの根拠

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。