大判昭和6年12月3日
心神喪失・心神耗弱を、精神の障害による弁識能力又は制御能力の喪失・著しい減退と定義した判例
刑法責任能力・期待可能性本試験で 5 問(短答 5・論文 0)
出題:司法H25・司法H27・予備H25・予備H30・予備R4
解説
事案
刑法39条は、1項で「心神喪失者の行為は、罰しない。」、2項で「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」と定める。しかし条文は「心神喪失」「心神耗弱」の内容を定めていない。本件(大判昭和6年12月3日刑集10巻682頁)で、大審院はこの二つの概念の意義を示した。ここで示された定義は、現在まで責任能力判断の基本的な枠組みとして使われている。
争点
- 刑法39条1項にいう「心神喪失」の意義
- 刑法39条2項にいう「心神耗弱」の意義
- 心神喪失の要件として、弁識能力と制御能力の双方の欠如が必要か、いずれか一方の欠如で足りるか
判旨
心神喪失とは、精神の障害により、事物の理非善悪を弁識する能力(弁識能力)又はこの弁識に従って行動する能力(制御能力)のない状態をいう。
心神耗弱とは、精神の障害がまだこのような能力を欠如する程度には達していないが、その能力が著しく減退した状態をいう。
答案ではこう書く。「心神喪失とは、精神の障害により、事物の理非善悪を弁識する能力又はその弁識に従って行動する能力を欠く状態をいい、心神耗弱とは、これらの能力が著しく減退した状態をいう」。
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