最決昭和58年9月27日
身の代金目的で拐取後さらに監禁して身の代金を要求した場合、拐取罪と要求罪は牽連犯、これらと監禁罪は併合罪とした決定
出題:司法H25・司法R3
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和57(あ)1012 みのしろ金目的拐取、拐取者みのしろ金取得等、監禁
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第37巻7号1078頁
- 参照法条
- 刑法45条,刑法54条1項後段,刑法225条ノ2,刑法220条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が被拐取者を監禁しみのしろ金を要求した場合の罪数関係
裁判要旨
みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が、更に被拐取者を監禁し、その間にみのしろ金を要求した場合には、みのしろ金目的拐取罪とみのしろ金要求罪とは牽連犯の関係に、以上の各罪と監禁罪とは併合罪の関係にある。
解説
事案
被告人は、みのしろ金(身の代金)を取得する目的で人を拐取し、さらにその被拐取者を監禁し、監禁している間にみのしろ金を要求した。被告人は、みのしろ金目的拐取罪、拐取者みのしろ金要求罪(当時の刑法225条ノ2)および監禁罪(刑法220条1項)で起訴され、有罪となった。原審の福岡高裁は、拐取罪と要求罪を牽連犯、これらと監禁罪を併合罪とした。
被告人側は上告した。弁護人は、起訴前に勾留の裁判をした裁判官が第一審の審理・判決に関与したことが憲法31条に違反するとし、判例違反も主張した。最高裁はこれらをいずれも刑訴法405条の上告理由にあたらないとして上告を棄却した。そのうえで「なお」書きで罪数について職権で判断した。
争点
- 身の代金目的で人を拐取した者が、さらに被拐取者を監禁し、その間に身の代金を要求した場合の罪数関係
- 身の代金目的拐取罪と身の代金要求罪の関係(牽連犯か)
- 拐取罪・要求罪と、拐取後に別に行われた監禁罪の関係(牽連犯か併合罪か)
判旨
結論:上告棄却。罪数について原判断を正当とした。
規範:みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が、さらに被拐取者を監禁し、その間にみのしろ金を要求した場合、罪数は次のとおりとなる。
- みのしろ金目的拐取罪(現刑法225条の2第1項)とみのしろ金要求罪(同条2項)は牽連犯(刑法54条1項後段)。
- これらの各罪と監禁罪(刑法220条)は併合罪(刑法45条)。
処断は、まず拐取罪と要求罪を科刑上一罪として最も重い刑で処断する。それと監禁罪とを併合罪として扱う、という二段構えになる。
判決文から
「みのしろ金取得の目的で人を拐取した者が、更に被拐取者を監禁し、その間にみのしろ金を要求した場合には」
拐取後に「更に」監禁した事案である点が射程の前提
「みのしろ金目的拐取罪とみのしろ金要求罪とは牽連犯の関係に、以上の各罪と監禁罪とは併合罪の関係にあると解するのが相当であり」
罪数の結論そのもの。答案にそのまま使える
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