四国巡礼事件
日頃の暴行で意思を抑圧した12歳の養女に窃盗させた者に、養女に是非弁別能力があっても窃盗の間接正犯を認めた。
出題:司法H22・司法H24・司法H25・司法H28・司法R1・司法R2・司法R5・司法R7・司法R8・予備H25・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和58(あ)537 窃盗
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第37巻7号1070頁
- 参照法条
- 刑法41条,刑法60条,刑法61条,刑法235条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
是非弁別能力を有する刑事未成年者を利用して窃盗を行つた者につき窃盗の間接正犯が成立するとされた事例
裁判要旨
自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている一二歳の養女を利用して窃盗を行つたと認められる判示の事実関係のもとにおいては、たとえ同女が是非善悪の判断能力を有する者であつたとしても、右利用者につき窃盗の間接正犯が成立する。
解説
事案
被告人は、当時12歳の養女Aを連れて四国等を巡礼していた。その間、Aが被告人の言動に逆らう素振りを見せるたびに、顔面にタバコの火を押しつける、ドライバーで顔をこするなどの暴行を加え、Aを自己の意のままに従わせていた。被告人はこのAに命じて、各窃盗を行わせた。
第一審判決とこれを是認した原判決(高松高裁)は、被告人に窃盗罪の成立を認めた。弁護人は、Aが是非善悪の判断能力を有していたとして単なる法令違反を主張し、被告人本人は量刑不当を主張して上告した。最高裁は、いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらないとしたうえで、職権で間接正犯の成否を判断した。
争点
- 刑事未成年者(刑法41条)を利用して窃盗を行わせた者に、窃盗の間接正犯が成立するか
- 被利用者が是非善悪の判断能力を有していた場合でも、間接正犯が成立しうるか
判旨
上告棄却。被告人には本件各窃盗の間接正犯が成立する。
- 被告人は、日頃の暴行で自己の意のままに従わせていたAに窃盗を命じて行わせた。
- これにより、被告人は自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されているAを利用して窃盗を行ったと認められる。
- したがって、たとえAが是非善悪の判断能力を有する者であったとしても、間接正犯が成立する。
答案に書く規範の形にすると次のとおり。被利用者が刑事未成年者であるか、是非弁別能力を有するかによって間接正犯の成否が決まるのではない。利用者が被利用者の意思を抑圧して犯行を行わせたといえる場合には、利用者は被利用者を一方的に利用して犯罪を実現したものとして、間接正犯の罪責を負う。
判決文から
「日頃被告人の言動に逆らう素振りを見せる都度顔面にタバコの火を押しつけたりドライバーで顔をこすつたりするなどの暴行を加えて自己の意のままに従わせていた」
意思抑圧を基礎づける具体的事情の認定
「被告人が、自己の日頃の言動に畏怖し意思を抑圧されている同女を利用して右各窃盗を行つたと認められるのであるから」
間接正犯の決め手が意思抑圧であることを示す
「たとえ所論のように同女が是非善悪の判断能力を有する者であつたとしても、被告人については本件各窃盗の間接正犯が成立すると認めるべきである。」
是非弁別能力があっても間接正犯を肯定した核心部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
