最決昭和58年9月13日
心神喪失・心神耗弱の該当性は法律判断であり、その前提となる生物学的・心理学的要素も究極的には裁判所が評価するとした決定
出題:司法H25・司法H26・司法H29・予備H25
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和58(あ)753 窃盗
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 集刑 第232号95頁
- 参照法条
- 刑法39条,刑訴法165条,刑訴法317条,刑訴法318条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 心神喪失又は心神耗弱の判断の性質 二 責任能力判断の前提となる生物学的要素及び心理学的要素についての判断権
裁判要旨
一 刑法三九条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であつて、専ら裁判所に委ねられるべき問題である。 二 刑法三九条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかの法律判断の前提となる生物学的、心理学的要素についての評価は、右法律判断との関係で究極的には裁判所に委ねられるべき問題である。
解説
事案
被告人は窃盗の罪で起訴された。被告人は、犯行当時に幻聴に襲われていたと述べており、犯行当時の精神状態について鑑定が行われた。原審(札幌高裁)は、この鑑定結果を否定し、被告人の刑事責任能力を肯定した。
これに対し、被告人本人と弁護人が上告した。上告趣意は、鑑定結果を否定して責任能力を肯定した原判決には重大な事実誤認があるというものである。
最高裁は、上告趣意は刑訴法405条の上告理由に当たらないとして上告を棄却した。そのうえで「なお」書きにより、責任能力判断の性質と判断権の所在について職権で判示した。
争点
- 刑法39条の心神喪失・心神耗弱に該当するかどうかの判断は、法律判断か、それとも鑑定人に委ねられる事実判断か
- その前提となる生物学的要素・心理学的要素の評価は、誰の判断に委ねられるか(裁判所は精神鑑定の結果に拘束されるか)
判旨
結論:上告棄却。鑑定結果を否定して責任能力を肯定した原審の判断は正当である。
規範
- 被告人の精神状態が刑法39条にいう心神喪失または心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であり、専ら裁判所に委ねられる。
- その前提となる生物学的要素・心理学的要素についても、上記の法律判断との関係で、究極的には裁判所の評価に委ねられる。
- したがって、裁判所は精神鑑定の結果に当然には拘束されない。
あてはめ:記録によれば、犯行当時に被告人が述べるような幻聴に襲われたことは甚だ疑わしい。そうであれば、責任能力を肯定した原審の判断は是認できる。
判決文から
「被告人の精神状態が刑法三九条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であつて専ら裁判所に委ねられるべき問題であることはもとより、」
責任能力の該当性は法律判断だとした中核部分
「その前提となる生物学的、心理学的要素についても、右法律判断との関係で究極的には裁判所の評価に委ねられるべき問題であるところ、」
前提要素の評価も最終的には裁判所が行う
「本件犯行当時被告人がその述べているような幻聴に襲われたということは甚だ疑わしいとしてその刑事責任能力を肯定した原審の判断は、正当として是認することができる。」
鑑定と異なる認定を是認したあてはめ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
