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最判昭和58年10月6日

名誉侵害の慰藉料請求権は、金額が客観的に確定するか被害者が死亡するまでは行使上の一身専属性を失わず、差押え・代位の対象にならない

民法責任財産の保全(詐害行為・債権者代位)不法行為本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法H23・司法R7・予備H23・予備H28

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和54(オ)719 損害賠償
裁判
判決・破棄差戻
判例集
民集 第37巻8号1041頁
参照法条
民法423条,民法710条,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)570条1項,民訴法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)618条1項,破産法(昭和54年法律第5号による改正前のもの)6条3項,破産法(昭和54年法律第5号による改正前のもの)283条1項後段

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 名誉侵害を理由とする慰藉料請求権と行使上の一身専属性の喪失事由 二 名誉侵害を理由とする破産者の慰藉料請求権が破産終結決定後に行使上の一身専属性を失つた場合と破産法二八三条一項後段の適用の有無

裁判要旨

一 名誉侵害を理由とする慰藉料請求権は、加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意若しくはかかる支払を命ずる債務名義が成立したなどその具体的な金額が当事者間において客観的に確定したとき又は被害者が死亡したときは、行使上の一身専属性を失う。 二 名誉侵害を理由とする破産者の慰藉料請求権が破産終結決定後に行使上の一身専属性を失つた場合には、破産法二八三条一項後段の適用はない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

Dは、町長在職中に請託を受けて賄賂を収受したとの罪で昭和41年に起訴された。Dは、この起訴は検察官の過失による違法な公権力の行使であり、これによって名誉を毀損されたと主張した。

Dは昭和46年に破産宣告を受けた。その後の昭和48年、国家賠償法1条1項に基づき、国に対して慰藉料2000万円を求める訴えを提起した。昭和49年に破産終結決定があり、Dは原審係属中の昭和53年に死亡した。

  • 第一審:Dの当事者適格を認め、慰藉料200万円の支払を命じた。
  • 原審:破産宣告前の不法行為による慰藉料請求権は、少なくとも破産者が行使の意思を明示した時に客観的な金銭債権となり、破産財団に帰属すると解した。Dが請求したのは破産宣告後であるから、管理処分権は破産管財人にあり、Dは当事者適格を欠くとして訴えを却下した。
  • 最高裁:原判決を破棄し、差し戻した。

争点

  • 名誉侵害を理由とする慰藉料請求権が行使上の一身専属性を失うのはいつか(行使の意思表示・訴え提起で足りるか)
  • 行使上の一身専属性を有する間、被害者の債権者は差押え・債権者代位(民法423条)ができるか
  • 破産終結決定後に行使上の一身専属性を失った慰藉料請求権に、旧破産法283条1項後段が適用され破産財団に帰属するか

判旨

規範

  • 名誉侵害を理由とする慰藉料請求権は、被害者が行使の意思を表示しただけで、具体的な金額が当事者間で客観的に確定しない間は、なお行使上の一身専属性を有する。
  • その間、被害者の債権者は、これを差押えの対象としたり、債権者代位の目的とすることはできない。
  • 次の場合には一身専属性を失い、客観的な金銭債権となる。
  • ①加害者が一定額の慰藉料を支払う旨の合意、またはその支払を命ずる債務名義が成立するなど、具体的な金額が当事者間で客観的に確定したとき
  • ②被害者が死亡したとき
  • 一身専属性を失えば、差押え・債権者代位の目的とすることができる。
  • 破産終結決定後に行使上の一身専属性を失った慰藉料請求権には、旧破産法283条1項後段は適用されない。

結論

  • 訴え提起による行使意思の明示だけでは一身専属性は失われない。したがって、破産者Dにも当事者適格がある。
  • D死亡によって一身専属性は失われたが、それは破産終結後のことであるから、請求権は破産財団に帰属しない。訴訟は相続人が承継する。
  • よって、原判決を破棄し差し戻した。

判決文から

「被害者が右請求権を行使する意思を表示しただけでいまだその具体的な金額が当事者間において客観的に確定しない間は、被害者がなおその請求意思を貫くかどうかをその自律的判断に委ねるのが相当である」

意思表示だけでは一身専属性が失われない理由

「加害者が被害者に対し一定額の慰藉料を支払うことを内容とする合意又はかかる支払を命ずる債務名義が成立したなど、具体的な金額の慰藉料請求権が当事者間において客観的に確定したとき」

一身専属性喪失事由①(金額の客観的確定)

「被害者がそれ以前の段階において死亡したときも、右慰藉料請求権の承継取得者についてまで右のような行使上の一身専属性を認めるべき理由がないことが明らかである」

一身専属性喪失事由②(被害者の死亡)

「破産終結の決定がされたのちに行使上の一身専属性を失なうに至つた慰藉料請求権については、破産法二八三条一項後段の適用がないと解するのが相当である」

判示事項二の結論

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。