最判昭和57年9月7日
荷渡指図書に基づき倉庫業者が寄託者台帳の名義を変更した指図による占有移転について、民法192条の適用を認めた判例
出題:司法R2・司法R6・予備H28・予備R2
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和55(オ)185 第三者異議
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第36巻8号1527頁
- 参照法条
- 民法184,民法192条,商法597条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
荷渡指図書に基づき倉庫業者の寄託者台張上の寄託者名義が変更され寄託の目的物の譲受人が指図による占有移転を受けた場合と民法一九二条の適用
裁判要旨
寄託者が倉庫業者に対して発行した荷渡指図書に基づき倉庫業者が寄託者台帳上の寄託者名義を変更して右寄託の目的物の譲受人が指図による占有移転を受けた場合には、民法一九二条の適用がある。
解説
事案
D国際は、上告人から本件豚肉の引渡しを受け、これを冷蔵倉庫業者E水産に寄託した。D国際はそれより前に豚肉をF商店に売り渡しており、F商店はこれを被上告人に転売していた。
D国際とF商店は、それぞれ目的物を引き渡す手段として、受寄者E水産宛てに「豚肉を買受人に引き渡すことを依頼する」旨を記載した荷渡指図書を発行した。正本はE水産に、副本は各買受人に交付された。E水産は、寄託者である売主の意思を確認するなどしたうえで、寄託者台帳上の寄託者名義をD国際からF商店へ、F商店から被上告人へと変更した。
昭和48年当時、京浜地区の冷凍食肉販売業者・冷蔵倉庫業者の間では、次のような扱いが広く行われていた。
- 倉庫業者は、荷渡指図書の呈示・送付を受けると、寄託者の意思を確認したうえで、台帳上の名義を被指図人に変更する。
- 売買当事者間では、この名義変更によって引渡しが完了したものとして処理する。
第三者異議事件において被上告人は豚肉の即時取得を主張し、原審はこれを認めた。上告人が上告した。
争点
- 荷渡指図書に基づく寄託者台帳上の名義変更による指図による占有移転(民法184条)が、民法192条にいう「占有」の取得に当たるか
- 倉庫業者による売主の意思確認は、即時取得の主張における主要事実か(弁論主義との関係)
- 原審は荷渡指図書にいわゆる物権的効力を認めたものか
判旨
上告棄却。
寄託者が倉庫業者に対して発行した荷渡指図書に基づき、倉庫業者が寄託者台帳上の寄託者名義を変更して、寄託目的物の譲受人が指図による占有移転を受けた場合には、民法192条の適用がある。
本件では、被上告人は、台帳上の寄託者名義の変更により、F商店から、E水産を占有代理人とする指図による占有移転を受けた。これによって192条にいう占有を取得したとした原審の判断は正当である。
あわせて次の点も示された。
- E水産による売主の意思確認という事実は、即時取得の主張における主要事実ではない。したがって、当事者の主張なしに認定しても弁論主義に反しない。
- 原審は、荷渡指図書に物権的効力を認めたものではない。
判決文から
「被上告人が右寄託者台帳上の寄託者名義の変更によりF商店から本件豚肉につき占有代理人をE水産とする指図による占有移転を受けることによつて民法一九二条にいう占有を取得したものである」
指図による占有移転で192条の占有取得を肯定した核心
「E水産による売主の意思の確認という事実は、被上告人の本件豚肉の即時取得の主張における主要事実ではない」
弁論主義上、意思確認は主要事実でないと判断
「原審が、荷渡指図書について、いわゆる物権的効力を認めたものでないことは原判決の説示に照らして明らかである」
占有取得の根拠は書面の効力でなく指図による占有移転
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
