最判昭和57年7月1日
入会部落の構成員は使用収益権の確認・妨害排除を単独で請求できる。ただし、それを根拠に地上権設定仮登記の抹消は請求できない
出題:司法H24・司法R5・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和51(オ)424 地上権存在確認、地上権設定登記手続、土地引渡
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第36巻6号891頁
- 参照法条
- 民法263条,民訴法45条,民訴法62条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求と右構成員の当事者適格 二 入会部落の構成員が有する使用収益権に基づく地上権設定仮登記抹消登記手続請求の可否
裁判要旨
一 入会部落の構成員が有する使用収益権の確認又はこれに基づく妨害排除の請求については、右構成員各自に当事者適格がある。 二 入会部落の構成員は、自己の有する使用収益権を根拠としては入会地について経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続を請求することができない。
解説
事案
本件山林は、払下げを受けた当時、入会部落であるa部落に法人格がなく、部落有地として登記する方法もなかった。そのため、やむをえず被上告人神社名義で所有権移転登記がされていた。
上告人は、神社との地上権設定契約に基づき、地上権の存在確認、地上権設定登記手続、土地引渡しを請求した。本件山林には地上権設定仮登記が経由されている。
これに対し、a部落の構成員の一部である当事者参加人らが、旧民訴法71条に基づき独立当事者参加をした。参加人らの主張は、本件山林は実質的にa部落の総有であり、処分権限のない神社が締結した地上権設定契約は無効だというものである。そのうえで参加人らは次のように請求した。
- 上告人と神社に対し、入会権の内容である使用収益権(立木の小柴刈り、下草刈り、転石の採取)の確認
- 上告人に対し、地上権設定仮登記の抹消登記手続
原審は、使用収益権を限定された持分権・地上権と同様の性質をもつものとみた。そして、その保存行為として抹消請求も認容した。上告人が上告した。
争点
- 入会部落の構成員各自に、使用収益権の確認・妨害排除請求の当事者適格があるか
- 構成員は、自己の使用収益権を根拠に、入会地に経由された地上権設定仮登記の抹消登記手続を請求できるか
- 入会地の登記名義人(神社)との関係で民法94条2項を適用・類推適用できるか
判旨
一部破棄自判。仮登記抹消請求の部分について原判決を破棄し、第一審判決を取り消して請求を棄却した。その余の上告は棄却した。
規範(使用収益権)
- 構成員が入会地で使用収益を行う権能は、構成員たる資格に基づき個別的に認められる。これは入会権そのものの管理処分権能とは異なる。
- 部落内の規律による拘束は受けるが、本来各自が単独で行使できる。
- したがって、使用収益権を争い又はその行使を妨害する者がいれば、相手方が構成員かどうかを問わず、各自が単独で使用収益権の確認・妨害排除を請求できる(当事者適格あり)。
規範(登記の抹消)
- 使用収益権は立入り・採枝・採草等の収益行為をする権能にとどまる。特段の事情のない限り、地上権設定登記が存在するだけでは妨害されない。よって、使用収益権を根拠に抹消登記を請求することはできない。
- 登記の存在は入会権自体を侵害する性質をもつ。しかし、入会権自体に基づく妨害排除の主張・行使は入会権の管理処分に関する事項である。構成員は持分権又はこれに類する権限を有しないから、各自単独では請求できない。
その他:入会権は登記できないため、実質的な権利関係で処理される。神社名義の登記があっても民法94条2項は適用・類推適用されない。
判決文から
「右使用収益権を争い又はその行使を妨害する者がある場合には、その者が入会部落の構成員であるかどうかを問わず、各自が単独で、その者を相手方として自己の使用収益権の確認又は妨害の排除を請求することができるものと解するのが相当である。」
単独での確認・妨害排除を認めた中心規範
「単に本件山林につき地上権設定に関する登記が存在することのみによつては格別の妨害を受けることはないと考えられるからである。」
使用収益権では抹消請求できない理由
「入会部落の個々の構成員は、右の管理処分については入会部落の一員として参与しうる資格を有するだけで、共有におけるような持分権又はこれに類する権限を有するものではない」
共有との違い。入会権自体の妨害排除は単独不可
「入会権の対象である山林原野についての法律関係は、登記によつてではなく実質的な権利関係によつて処理すべきものである」
94条2項の類推適用を否定する根拠
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
