最判昭和57年3月4日
共謀による共同不法行為でも不真正連帯債務として旧民法434条は適用されない。継続性のない委任の債務不履行解除にも民法652条を適用する。
出題:司法R7・予備H29
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和56(オ)173 不当利益返還
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第135号269頁
- 参照法条
- 民法434条,民法652条,民法719条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 共謀による共同不法行為と民法四三四条の適用の有無 二 継続性のない事務処理を目的とする委任契約の債務不履行による解除と民法六五二条の適用
裁判要旨
一 共同不法行為が行為者の共謀による場合であつても、民法四三四条の規定は適用されない。 二 民法六五二条の規定は、継続性のない事務処理を目的とする委任契約を委任者の債務不履行を理由にして解除する場合にも適用される。
解説
事案
上告人は、昭和31年2月ころ、被上告人から株式の買付けを委任された。上告人はE証券株式会社の外務員Dに指示して本件株式を買い付け、同年4月中旬までに株券を被上告人に引き渡した。しかし被上告人は、約定していた代金を引換えに支払わなかった。
上告人は、Dの共同不法行為を理由に損害賠償請求訴訟を提起していた。この共同不法行為は、行為者の共謀によるものと主張されていた。その後、上告人が被上告人にも損害賠償を求めたところ、被上告人は消滅時効を主張した。
上告人は次のように争った。
- Dに対する訴えの提起により、被上告人に対する時効も中断した(旧民法434条)。
- 被上告人の時効の主張は信義則違反・権利濫用である。
- 代金不払いのため、株式は被上告人に帰属していない。
- 委任契約を委任者の債務不履行を理由に解除すれば、その効力は遡及する。
原審は上告人の主張をいずれも退け、上告人が上告した。
争点
- 共同不法行為者の損害賠償債務に、連帯債務の請求の絶対効を定める旧民法434条が適用されるか。共謀による共同不法行為の場合はどうか
- 受任者が株券を引き渡したが、委任者が代金を引換えに支払わなかった場合、株式は委任者に帰属するか
- 継続性のない事務処理を目的とする委任契約を委任者の債務不履行を理由に解除する場合にも、解除の非遡及を定める民法652条が適用されるか
- 被上告人の消滅時効の主張が信義則違反・権利濫用となるか
判旨
上告棄却。
- 共同不法行為と旧434条:民法719条の共同不法行為者が負う損害賠償債務は不真正連帯債務であり、連帯債務ではない。したがって旧民法434条(履行の請求の絶対効)は適用されない。共同不法行為が行為者の共謀による場合も同じである。よって、共同不法行為者の一人(D)に対する訴えの提起によっては、他の者(被上告人)の損害賠償債務の消滅時効は中断しない。
- 株式の帰属:受任者が委任事務の処理にあたって取得した株券を委任者に引き渡したときは(民法646条参照)、引渡しと同時に株式は委任者に帰属する。代金の引換え支払がなくても、この結論は変わらない。
- 民法652条の適用範囲:委任契約の解除の効力が遡及しない旨を定める民法652条は、特定の株式の買付けのような継続性をもたない事務の処理を目的とする委任契約を、委任者の債務不履行を理由に解除する場合にも適用される。
- 信義則・権利濫用:被上告人の時効の主張が信義則違反・権利濫用になるとする根拠はない。
判決文から
「民法七一九条所定の共同不法行為者が負担する損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務であつて連帯債務ではないから、右損害賠償債務については連帯債務に関する同法四三四条の規定は適用されないものと解するのが相当であり」
不真正連帯債務論と請求の相対効の規範
「右の共同不法行為が行為者の共謀にかかる場合であつても、これと結論を異にすべき理由はない。」
共謀型にも射程が及ぶことを明示
「委任契約の解除の効力が遡及しない旨を定めた民法六五二条の規定は、特定の株式の買付けのような継続性をもたない事務の処理を目的とする委任契約を委任者の債務不履行を理由にして解除する場合にも適用される」
非継続的委任・債務不履行解除にも非遡及
「右引渡と同時に本件株式は被上告人に帰属したものと解するのが相当であり」
受任者の引渡しで委任者に権利が帰属
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
