最判昭和57年3月12日
裁判官の争訟の裁判が国賠法上違法となるのは、権限の趣旨に明らかに背いて行使したといえる特別の事情がある場合に限られる
出題:司法H23・司法R4・予備H23・予備R2
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和53(オ)69 損害賠償
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第36巻3号329頁
- 参照法条
- 国家賠償法1条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
争訟の裁判と国家賠償責任
裁判要旨
裁判官がした争訟の裁判につき国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があつたものとして国の損害賠償責任が肯定されるためには、右裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によつて是正されるべき瑕疵が存在するだけでは足りず、当該裁判官が違法又は不当な目的をもつて裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とする。
解説
事案
上告人は、自己が当事者となった前訴について、その判決(前訴判決)に法令の解釈・適用の誤りがあると主張した。そして、この誤った裁判によって損害を受けたとして、国家賠償法1条1項に基づき国に損害賠償を求めた。
原審(大阪高等裁判所)は、上告人の請求を理由がないとした。上告人は、原審の判断が最判昭和43年3月15日(裁判集民事90号655頁)に抵触すると主張して上告した。
最高裁は、仮に前訴判決に上告人の主張するような法令の解釈・適用の誤りがあったとしても、国の損害賠償責任は生じないとした。原審の判断は結論において正当であるとして、上告を棄却した(裁判官全員一致)。
争点
- 裁判官がした争訟の裁判に、上訴等で是正されるべき瑕疵(法令の解釈・適用の誤り等)がある場合、それだけで国家賠償法1条1項の「違法」となるか
- 裁判官の争訟の裁判について国家賠償責任が肯定されるための要件
判旨
結論:上告棄却。前訴判決に法令の解釈・適用の誤りがあったとしても、それだけでは国家賠償責任は生じない。
規範(答案に書ける形)
- 裁判官がした争訟の裁判に、上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在したとしても、それによって当然に国家賠償法1条1項にいう違法な行為があったことにはならない。
- 国の損害賠償責任が肯定されるためには、当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情が必要である。
あてはめ:法令の解釈・適用の誤りは上訴による是正の原因となるにとどまり、それだけでは上記の特別の事情には当たらない。
判決文から
「裁判官がした争訟の裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によつて是正されるべき瑕疵が存在したとしても、これによつて当然に国家賠償法一条一項の規定にいう違法な行為があつたものとして国の損害賠償責任の問題が生ずるわけのものではなく」
裁判の瑕疵と国賠法上の違法を切り離す前提部分
「当該裁判官が違法又は不当な目的をもつて裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である」
違法性肯定のための「特別の事情」の規範
「本件において仮に前訴判決に所論のような法令の解釈・適用の誤りがあつたとしても、それが上訴による是正の原因となるのは格別、それだけでは未だ右特別の事情がある場合にあたるものとすることはできない」
法令解釈の誤りだけでは足りないとのあてはめ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
