最決昭和57年2月17日
幇助罪の個数は正犯の罪の個数で決まり、観念的競合となるかどうかは幇助行為それ自体の個数で判断するとした決定
出題:司法H27・司法R7
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和55(あ)515 覚せい剤取締法違反、関税法違反
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第36巻2号206頁
- 参照法条
- 刑法54条1項,刑法62条1項,覚せい剤取締法41条1項1号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 幇助罪の個数 二 幇助罪が数個成立する場合と刑法五四条一項にいう一個の行為
裁判要旨
一 幇助罪の個数は、正犯の罪のそれに従つて決定される。 二 幇助罪が数個成立する場合において、それらが刑法五四条一項にいう一個の行為によるものであるか否かは、幇助行為それ自体についてみるべきである。
解説
事案
正犯らは2回にわたり覚せい剤を密輸入し、2個の覚せい剤取締法違反の罪を犯した。被告人は、その際、覚せい剤の仕入資金にあてられることを知りながら、正犯の一人から渡された現金等を銀行保証小切手にかえて同人に交付した。これにより、正犯らの各犯行を幇助した。
原判決(大阪高裁)は、第一審判決を是認し、被告人に2個の覚せい剤取締法違反幇助罪が成立するとしたうえで、両罪を併合罪の関係にあるものとした。弁護人は判例違反等を理由に上告した。最高裁は、上告趣意はいずれも適法な上告理由にあたらないとしたうえで、職権により幇助罪の個数と罪数関係について判断した。
争点
- 1個の幇助行為によって正犯の数個の犯罪を幇助した場合、幇助罪は何個成立するか(幇助罪の個数の決定基準)
- 数個の幇助罪が成立する場合、刑法54条1項にいう「一個の行為」に当たるかどうかは、正犯の行為と幇助行為のいずれを基準に判断するか
判旨
結論:上告棄却。被告人には2個の覚せい剤取締法違反幇助罪が成立し、両罪は観念的競合(刑法54条1項前段)の関係にある。原判決が併合罪としたのは誤りであるが、刑訴法411条により破棄しなければ著しく正義に反するとまではいえない。
規範
- 成立上の罪数:幇助罪は正犯の犯行を幇助することによって成立するから、成立すべき幇助罪の個数は、正犯の罪の個数に従って決定される。したがって、幇助行為が1個であっても、正犯が2個の罪を犯せば2個の幇助罪が成立する。
- 科刑上の罪数:数個の幇助罪が刑法54条1項の「一個の行為」によるものかどうかは、幇助行為それ自体についてみるべきである。したがって、正犯の罪が併合罪の関係にあっても、幇助行為が1個なら、数個の幇助罪は観念的競合となる。
判決文から
「幇助罪は正犯の犯行を幇助することによつて成立するものであるから、成立すべき幇助罪の個数については、正犯の罪のそれに従つて決定されるものと解するのが相当である。」
成立上の罪数は正犯基準とする第一規範
「幇助犯における行為は幇助犯のした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから、幇助行為それ自体についてこれをみるべきである。」
科刑上一罪の判断は幇助行為基準とする第二規範
「たとえ正犯の罪が併合罪の関係にあつても、被告人の二個の覚せい剤取締法違反幇助の罪は観念的競合の関係にあると解すべきである。」
正犯が併合罪でも幇助は観念的競合となる結論
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
