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最判昭和57年1月22日

譲渡担保の受戻しは形成権ではなく、旧民法167条2項の20年の消滅時効にかからない。換価処分の完結までは受け戻せる。

民法その他の担保物権本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R2・予備R2

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
昭和55(オ)153 所有権移転登記手続
裁判
判決・破棄差戻
判例集
民集 第36巻1号92頁
参照法条
民法167条2項,民法369条(譲渡担保)

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

譲渡担保を設定した債務者の目的不動産に対するいわゆる受戻権と民法一六七条二項の規定の適用の可否

裁判要旨

譲渡担保を設定した債務者による債務の弁済と右弁済に伴う目的不動産の返還請求権とを合体し、一個の形成権たる受戻権として、これに民法一六七条二項の規定を適用することはできない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

Dは昭和28年3月9日、Yから10万円を借り受け、自己所有の本件土地を譲渡担保として提供した。同日、売買名下にYへの所有権移転登記がされた。弁済期は遅くとも昭和29年12月末日に到来した。

Dは昭和47年6月20日に元金相当額10万円を現実に提供し、さらに昭和51年3月8日に残債務を弁済した。Dの死亡後、相続人Xらは、弁済により債務が消滅し、Dが所有権を回復したか所有権の返還請求権を取得したと主張した。そのうえで、Yに対し所有権移転登記手続を求めた。

原審の判断は次のとおりである。

  • 受戻権は形成権であり、民法167条2項により20年で時効消滅する。
  • 昭和47年の提供は遅延損害金を含まず、債務の本旨に従ったものではない。
  • 昭和30年1月1日から20年が経過したことで、昭和51年の弁済の前に受戻権は消滅した。

以上により、原審は請求を棄却した。

争点

  • 譲渡担保設定者がいつまで債務を弁済して目的物を取り戻せるか
  • 債務の弁済と目的物の返還請求権とを合体した一個の形成権としての「受戻権」を観念し、民法167条2項(20年の消滅時効)を適用できるか

判旨

原判決を破棄し、名古屋高裁に差し戻した。

規範は次のとおりである。

  • 不動産譲渡担保で債務者が履行を遅滞すると、債権者は目的不動産の処分権能を取得する。債権者はこれに基づき、適正評価額で自己に帰属させるか、第三者に売却等をして換価処分し、その評価額・売却代金等を債権の弁済に充てることができる。
  • 他方、債務者は、弁済期の到来後も、債権者による換価処分が完結するに至るまでは、債務を弁済して目的物を取り戻すことができる。
  • 受戻しの請求は、弁済によって回復した所有権に基づく物権的返還請求権、契約に基づく債権的返還請求権、またはこれらに由来する抹消・移転登記請求権の行使にすぎない。
  • したがって、弁済と返還請求権とを合体した一個の形成権たる受戻権という構成の余地はない。民法167条2項を適用することは許されない。

判決文から

「債務者は、債務の弁済期の到来後も、債権者による換価処分が完結するに至るまでは、債務を弁済して目的物を取り戻すことができる、と解するのが相当である。」

受戻しの終期を換価処分の完結とする規範

「債務者によるいわゆる受戻の請求は、債務の弁済により債務者の回復した所有権に基づく物権的返還請求権ないし契約に基づく債権的返還請求権、又はこれに由来する抹消ないし移転登記請求権の行使として行われるものというべきである」

受戻請求の法的性質の位置づけ

「債務の弁済と右弁済に伴う目的不動産の返還請求権等とを合体して、これを一個の形成権たる受戻権であるとの法律構成をする余地はなく、したがつてこれに民法一六七条二項の規定を適用することは許されない」

形成権構成と20年時効の適用を否定した結論部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。