最判昭和57年1月19日
被担保債務の弁済は抵当権設定登記の抹消登記手続より先に履行すべきもので、両者は同時履行の関係に立たない
民法契約総論(成立・解除・危険負担)抵当権本試験で 2 問(短答 2・論文 0)
出題:司法H24・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和56(オ)890 抵当権設定登記抹消登記手続
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第135号33頁
- 参照法条
- 民法533条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
抵当債務の弁済と抵当権設定登記の抹消登記手続との同時履行関係の有無
裁判要旨
抵当債務は、抵当権設定登記の抹消登記手続より先に履行すべきもので、後者とは同時履行の関係に立たない。
解説
事案
上告人は、自己所有の不動産に、被上告人に対する貸金債務を担保するため、被上告人を抵当権者とする抵当権設定登記を経由していた。上告人は被上告人に対し、この抵当権設定登記の抹消登記手続を求めて訴えを提起した。
原審(高松高裁)は、上告人から貸金債務の弁済を受けるのと引換えに抹消登記手続をするよう被上告人に命じた(引換給付判決)。これに対し上告人のみが上告し、被上告人からの上告はなかった。
争点
- 被担保債務の弁済と抵当権設定登記の抹消登記手続とは、同時履行の関係(民法533条)に立つか
- 原審の法令解釈の誤りが認められても、上告人のみが上告した場合に原判決を上告人の不利益に変更できるか
判旨
上告棄却。
- 規範:債務の弁済と、その債務を担保するために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは、弁済が抹消登記手続に対して先履行の関係にある。両者は同時履行の関係に立たない。
- 原審の評価:弁済と引換えに抹消登記手続を命じた原審は、民法533条の解釈適用を誤っており、その違法は結論に影響する。
- 結論:もっとも、被上告人からの上告がない。原判決を上告人の不利益に変更することは許されないため、上告人の上告を棄却するほかない。
判決文から
「債務の弁済と該債務担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは、前者が後者に対し先履行の関係にあるものであつて、同時履行の関係に立つものではないと解すべきである」
弁済先履行・同時履行否定という本判決の規範そのもの
「本件では、被上告人からの上告の申立がなく、原判決を上告人の不利益に変更することが許されないので、上告人の上告を棄却するほかはない。」
原審の誤りを認めつつ棄却した理由(不利益変更禁止)
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