戸別訪問禁止事件
公選法138条1項の戸別訪問一律禁止は、手段方法の弊害を防ぐ間接的・付随的制約であり憲法21条に違反しない。
出題:司法H26・司法H30・司法R1・司法R5・司法R7・予備H30・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和55(あ)874 公職選挙法違反
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第35巻4号205頁
- 参照法条
- 公職選挙法138条1項,憲法21条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
公職選挙法一三八条一項の規定と憲法二一条
裁判要旨
公職選挙法一三八条一項の規定は、憲法二一条に違反しない。
解説
事案
昭和51年12月5日施行の衆議院議員総選挙に際し、被告人Aと被告人Cは、島根県選挙区から立候補したBに投票を得させる目的で戸別訪問をしたとして起訴された。Aは同月3日頃に選挙人方5戸を、Cは同月1日頃から4日頃までの間に選挙人方7戸を戸々に訪問し、Bへの投票を依頼した。
第一審は、戸別訪問を一律に禁止する公職選挙法138条1項は憲法21条に違反するとして、被告人両名を無罪とした。原審(広島高裁松江支部)も、戸別訪問の事実は認めた。そのうえで、戸別訪問の禁止は憲法上許される「合理的で必要やむをえない限度」の規制とはいえないとして、第一審判決を維持し、検察官の控訴を棄却した。検察官が、憲法21条の解釈の誤りと判例違反を理由に上告した。
争点
- 戸別訪問を一律に禁止する公職選挙法138条1項は、憲法21条に違反するか
- 選挙運動における意見表明の手段方法の規制について、合憲性をどのような枠組みで判断するか
判旨
結論:公職選挙法138条1項は憲法21条に違反しない。原判決を破棄し、広島高裁に差し戻した。
規範(判断枠組み):
- 目的の正当性:戸別訪問の禁止は、意見表明そのものの制約を目的としない。目的は、手段方法のもたらす弊害を防止し、選挙の自由と公正を確保することにあり、正当である。
- 合理的関連性:弊害を「総体としてみる」と、一律禁止と禁止目的との間に合理的な関連性がある。
- 利益衡量:失われる利益は、戸別訪問という手段による意見表明の自由の、間接的・付随的な制約にとどまる。得られる利益は選挙の自由と公正の確保であり、失われる利益よりはるかに大きい。
以上から、一律禁止は「合理的で必要やむをえない限度」を超えない。一律に禁止するかどうかは立法政策の問題であり、国会の裁量判断は尊重される。
判決文から
「戸別訪問の禁止は、意見表明そのものの制約を目的とするものではなく、意見表明の手段方法のもたらす弊害」
内容規制でなく手段方法規制と性格づけた部分
「右の目的は正当であり、それらの弊害を総体としてみるときには、戸別訪問を一律に禁止することと禁止目的との間に合理的な関連性があるということができる。」
弊害を総体として捉え、合理的関連性を認めた
「単に手段方法の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約にすぎない」
失われる利益を小さく評価した根拠
「得られる利益は失われる利益に比してはるかに大きいということができる。」
利益衡量による合憲判断の結論部分
「戸別訪問を一律に禁止するかどうかは、専ら選挙の自由と公正を確保する見地からする立法政策の問題であつて、国会がその裁量の範囲内で決定した政策は尊重されなければならないのである。」
選挙運動規制に関する立法裁量の尊重
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
