板まんだら事件
宗教上の教義の判断が訴訟の帰すうを左右し紛争の核心となる場合、法律上の争訟に当たらないとして訴えを却下した判例
出題:司法H22・司法H28・司法R4
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和51(オ)749 寄附金返還
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第35巻3号443頁
- 参照法条
- 裁判所法3条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
信仰の対象の価値ないし宗教上の教義に関する判断が訴訟の帰すうを左右する前提問題となつている具体的権利義務ないし法律関係をめぐる紛争と裁判所法三条にいう法律上の争訟
裁判要旨
訴訟が具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとつており、信仰の対象の価値ないし宗教上の教義に関する判断は請求の当否を決するについての前提問題にとどまるものとされていても、それが訴訟の帰すうを左右する必要不可欠のものであり、紛争の核心となつている場合には、該訴訟は、裁判所法三条にいう法律上の争訟にあたらない。 (意見がある。)
解説
事案
上告人は、戒壇の本尊を安置する正本堂を建立する費用に充てるとして寄付金を募った。被上告人らはこれに応じて寄付をした。その後、被上告人らは、贈与は錯誤により無効であるとして、不当利得返還請求訴訟を提起した。主張した錯誤の内容は次の2点である。
- (1) 正本堂に安置された本尊「板まんだら」は、日蓮正宗において「日蓮が弘安二年一〇月一二日に建立した本尊」と定められた本尊ではないことが、寄付の後に判明した。
- (2) 募金時には正本堂の完成時が広宣流布の時に当たり正本堂は事の戒壇になると称していたのに、完成後は、まだ戒壇の完結ではなく広宣流布は達成されていないと言明した。
第一審は訴えを却下した。これに対し原審(東京高裁)は、法律上の争訟に当たるとして事件を第一審に差し戻した。上告人が上告した。
争点
- 具体的な権利義務・法律関係に関する紛争の形式をとる訴訟でも、信仰の対象の価値や宗教上の教義に関する判断が前提問題となる場合に、裁判所法3条の「法律上の争訟」に当たるか
判旨
原判決を破棄し、被上告人らの控訴を棄却した(第一審の訴え却下判決を維持)。
規範
- 裁判所の審判対象は裁判所法3条の「法律上の争訟」に限られる。法律上の争訟とは、①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、②法令の適用により終局的に解決することができるもの、をいう。
- 具体的な権利義務に関する紛争でも、法令の適用により解決するのに適しないものは、審判の対象とならない。
- 訴訟が具体的な権利義務・法律関係に関する紛争の形式をとり、宗教上の判断が請求の当否を決める前提問題にとどまるとされていても、それが訴訟の帰すうを左右する必要不可欠のものであり、かつ紛争の核心となっている場合には、その訴訟は実質において法令の適用による終局的解決が不可能である。したがって法律上の争訟に当たらない。
判決文から
「当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であつて、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる」
法律上の争訟の二要件の定義
「具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であつても、法令の適用により解決するのに適しないものは裁判所の審判の対象となりえない、というべきである。」
第1要件を満たしても第2要件で否定されうる
「本件訴訟の帰すうを左右する必要不可欠のものと認められ、また、記録にあらわれた本件訴訟の経過に徴すると、本件訴訟の争点及び当事者の主張立証も右の判断に関するものがその核心となつていると認められる」
必要不可欠性と核心性という判断要素
「結局本件訴訟は、その実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なものであつて、裁判所法三条にいう法律上の争訟にあたらないものといわなければならない。」
形式でなく実質で争訟性を判断する結論
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
