月刊ペン事件
私人の私生活上の行状でも公共の利害に関する事実に当たりうるとし、その該当性は摘示事実自体から客観的に判断するとした判例
出題:司法R2・司法R8
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和55(あ)273 名誉毀損
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第35巻3号84頁
- 参照法条
- 刑法230条ノ2第1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 私人の私生活上の行状と刑法二三〇条の二項一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」 二 刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるとされた事例 三 刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かの判断方法
裁判要旨
一 私人の私生活上の行状であつても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによつては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる場合がある。 二 多数の信徒を擁するわが国有数の宗教団体の教義ないしあり方を批判しその誤りを指摘するにあたり、その例証として摘示した「右宗教団体の会長(当時)の女性関係が乱脈をきわめており、同会長と関係のあつた女性二名が同会長によつて国会に送り込まれていること」などの事実は、同会長が、右宗教団体において、その教義を身をもつて実践すべき信仰上のほぼ絶対的な指導者であつて、公私を問わずその言動が信徒の精神生活等に重大な影響を与える立場にあつたなど判示の事実関係のもとにおいては、刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる。 三 刑法二三〇条の二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かは、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべきであり、これを摘示する際の表現方法や事実調査の程度などは、同条にいわゆる公益目的の有無の認定等に関して考慮されるべきことがらであつて、摘示された事実が「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かの判断を左右するものではない。
解説
事案
株式会社Aの編集局長である被告人は、同社発行の月刊誌「月刊ペン」で連続特集を組み、宗教法人Bを批判した。その際、同会の象徴的存在とみられる会長Cの私的行動も取り上げた。昭和51年3月号ではCの女性関係が病的で色情狂的でさえあるとの情報が流れている旨の記事を、4月号ではCに芸者のめかけがいること、お手付き情婦の女性2名を公明党議員として国会に送り込んだことなどを内容とする記事を、それぞれ執筆・掲載した。4月号の記事は、その女性2名が会員F・Gであると世人に容易に推認させる表現であった。各号は約3万部が販売・頒布された。
第一審は刑法230条1項を適用して有罪とした。原審は、次の諸点を理由に摘示事実は「公共ノ利害ニ関スル事実」に当たらないとし、公益目的の有無も事実の真否も問わずに有罪を維持した。
- 私生活上の不倫な男女関係の醜聞であること
- 表現方法が侮辱的・嘲笑的であること
- 不確実な噂・風聞をそのまま取り入れた文体であること
- 他人の文章を適切な調査もせずに転写したこと
争点
- 私人の私生活上の行状が刑法230条の2第1項の「公共ノ利害ニ関スル事実」に当たりうるか
- 宗教団体会長の女性関係等の摘示が「公共ノ利害ニ関スル事実」に当たるか
- 「公共ノ利害ニ関スル事実」該当性の判断において、表現方法や事実調査の程度を考慮すべきか
判旨
結論:原判決と第一審判決を破棄し、東京地裁に差し戻した。
規範1(私生活上の行状):私人の私生活上の行状であっても、次の事情いかんによっては、その社会的活動に対する批判・評価の一資料として「公共ノ利害ニ関スル事実」に当たる場合がある。
- その者がたずさわる社会的活動の性質
- その活動を通じて社会に及ぼす影響力の程度など
あてはめ:C会長の女性関係が乱脈をきわめ、関係のあった女性2名を国会に送り込んだなどの行状は、「公共ノ利害ニ関スル事実」に当たる。一宗教団体内部の単なる私的な出来事とはいえない。
規範2(判断方法):該当性は、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断する。表現方法や事実調査の程度は公益目的の有無の認定等で考慮すべき事柄であり、公共性の判断を左右しない。
判決文から
「私人の私生活上の行状であつても、そのたずさわる社会的活動の性質及びこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによつては」
私人の私生活でも公共性が認められうる考慮要素
「その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法二三〇条ノ二第一項にいう「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたる場合があると解すべきである」
社会的活動の評価資料という位置づけが規範の核心
「「公共ノ利害ニ関スル事実」にあたるか否かは、摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべきものであり、」
公共性は事実自体から客観的に判断する
「これを摘示する際の表現方法や事実調査の程度などは、同条にいわゆる公益目的の有無の認定等に関して考慮されるべきことがらであつて」
表現方法・調査程度は公益目的の問題に振り分ける
「これを一宗教団体内部における単なる私的な出来事であるということはできない。」
団体内部の私事という原審の見方を否定
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
