最判昭和55年7月11日
協議・審判等で具体的内容が形成される前の財産分与請求権を保全するための債権者代位権行使は許されない
出題:司法H24・司法H27・司法R7・予備H24・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和53(オ)321 所有権確認等
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第34巻4号628頁
- 参照法条
- 民法432条,民法768条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
協議・審判等による具体的内容形成前の財産分与請求権に基づく債権者代位権行使の許否
裁判要旨
離婚後協議あるいは審判等によつて具体的内容が形成される前の財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することは許されない。
解説
事案
被上告人は、上告人A1・A2を相手に訴えを提起し、次の2つを請求した。
- 第一審判決添付目録(一)ないし(五)記載の各物件が上告人A2の所有に属することの確認
- 自己の財産分与請求権を保全するため、上告人A1に対する所有権移転登記の抹消登記手続請求権を代位行使すること
第一審は抹消登記手続請求を棄却した。原審(東京高裁)はこの請求を認容した。上告人らが上告し、離婚に伴う財産分与請求権が債権者代位権(民法423条)の被保全債権となるかが争われた。財産分与請求権は、協議・審判等によってまだ具体的内容が形成されていなかった。
争点
- 協議・審判等によって具体的内容が形成される前の財産分与請求権(民法768条)を被保全債権として、債権者代位権を行使できるか
- 代位原因(被保全債権)を欠く代位訴訟は、棄却と却下のどちらで処理すべきか
- 財産分与請求権の内容が不明確でも、各物件が上告人A2の所有に属することの確認を求める法的利益は認められるか
判旨
結論:抹消登記手続請求を認容した部分について、原判決を破棄し、第一審判決を取り消したうえ、訴えを却下した。所有権確認請求の部分は上告を棄却した(全員一致)。
規範:離婚によって生ずることあるべき財産分与請求権は、一個の私権たる性格を有する。しかし、協議あるいは審判等によって具体的内容が形成されるまでは、その範囲・内容が不確定・不明確である。したがって、このような財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできない。
処理:この場合の代位行使は代位原因を欠くので、その訴えは不適法として却下すべきである。
確認請求:他方、財産分与請求権の範囲・内容が不明確であっても、原判示の事実関係のもとでは、各物件が上告人A2の所有に属することの確認を求める法的利益は認められる。
判決文から
「協議あるいは審判等によつて具体的内容が形成されるまでは、その範囲及び内容が不確定・不明確であるから、かかる財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することはできない」
判決の中核規範。代位を否定する理由は範囲・内容の不確定性
「被上告人による上告人A1に対する所有権移転登記の抹消登記手続請求権の代位行使は、その代位原因を欠くものであり、これに関する訴を不適法として却下すべきである」
被保全債権を欠く代位訴訟は棄却でなく却下とした点
「被上告人は第一審判決添付目録(一)ないし(五)記載の各物件が上告人A2の所有に属することの確認を求める法的利益を有するものというべきである」
代位は否定しつつ、所有権確認の利益は肯定した
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
