最決昭和55年4月28日
被告事件の勾留と余罪の被疑事件の逮捕・勾留が競合する場合、被告事件の防御権を不当に制限しない限り接見指定ができる
出題:司法H24・予備H24・予備R3・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和55(し)39 収賄被疑事件についてした検察官の接見指定に関する準抗告棄却決定に対する特別抗告
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第34巻3号178頁
- 参照法条
- 刑訴法39条1項,刑訴法39条3項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕勾留とが競合している場合における刑訴法三九条三項の接見等の指定権
裁判要旨
同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕、勾留とが競合している場合、検察官等は、被告事件について防禦権の不当な制限にわたらない限り、刑訴法三九条三項の接見等の指定権を行使することができる。
解説
事案
同一人について、起訴された被告事件で勾留が続いている。それとは別に、その余罪である収賄被疑事件でも逮捕・勾留されていた。検察官は、この収賄被疑事件について刑訴法39条3項に基づく接見等の指定をした。
弁護人側はこの指定を不服として準抗告をしたが、水戸地方裁判所は棄却した。そこで特別抗告がされた。
抗告趣意の主張は次のとおりである。
- 最決昭和41年7月26日に違反する(判例違反)。
- 憲法34条・37条3項に違反する。
- 刑訴法39条3項の解釈を誤っている。
最高裁は抗告を棄却した。そのうえで「なお」として職権で判断を示した。
争点
- 同一人について被告事件の勾留と余罪の被疑事件の逮捕・勾留が競合している場合に、検察官等は刑訴法39条3項の接見指定権を行使できるか
- 行使できるとして、被告事件の防御権との関係でどのような限界があるか
判旨
結論:抗告棄却。接見指定を是認した原判断は相当である。
規範:同一人について被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕・勾留とが競合している場合、検察官等は、被告事件について防禦権の不当な制限にわたらない限り、刑訴法39条3項の接見等の指定権を行使できる。
答案での書き方:
- 起訴後の被告人であっても、余罪について被疑者として現に逮捕・勾留されているときは、余罪捜査の必要から39条3項の指定をすることができる。
- ただし、その指定が被告事件についての防御権を不当に制限するものであってはならない。
判例違反の主張について:引用された最決昭和41年7月26日は、余罪について逮捕・勾留されていなかった事案である。本件とは事案を異にし、適切でないとした。
判決文から
「同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕、勾留とが競合している場合、検察官等は、被告事件について防禦権の不当な制限にわたらない限り、刑訴法三九条三項の接見等の指定権を行使することができる」
本決定の規範部分。限界の文言まで正確に
「被告人が余罪である被疑事件について逮捕、勾留されていなかつた場合に関するもので、余罪である被疑事件について現に勾留されている本件とは事案を異にし適切でなく」
昭和41年決定との区別の基準は余罪での身柄拘束の有無
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