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最判昭和55年2月7日

被告が積極否認しかしていないのに、主張のない所有権喪失事由(死因贈与)を認定して請求を棄却するのは弁論主義違反である。

民事訴訟法弁論主義・釈明権本試験で 4 問(短答 3・論文 1)

出題:司法H23・司法R7・予備H23・予備R8

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和52(オ)1144 遺留分減殺
裁判
判決・破棄差戻
判例集
民集 第34巻2号123頁
参照法条
民訴法186条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

不動産の所有権移転経過の認定について弁論主義違反の違法があるとされた事例

裁判要旨

原告らが、係争不動産は原告らの被相続人乙が甲から買い受け乙の死亡によつて原告らが共同相続したものであると主張して、右不動産の所有名義人である被告に対し、共有持分権に基づき各持分に応ずる所有権移転登記手続を求め、これに対し被告が、右不動産は被告の夫丙が甲から買い受けたものであり丙の死亡によつて被告がそれを相続取得したものであると主張したにとどまる場合において、裁判所が、右不動産は乙が甲から買い受けたのち丙に死因贈与したものであるとの事実を認定し、原告らの請求を排斥するのは、弁論主義に違反する。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

X ら(原告・上告人)の主張は次のとおりである。

  • X ら、D、E の父 F が、昭和28年に G から本件土地を買い受けた。登記は E 名義にしていた。
  • F の死亡(昭和34年)により、X ら・D・E が各5分の1の持分で相続した。
  • その後 E が死亡し、E の妻 Y(被告・被上告人)が単独で相続登記をした。
  • そこで X らは、共有持分権に基づき、各持分5分の1の移転登記手続を Y に求めた。

Y は「E が真実 G から買い受けたものであり、Y はこれを相続した」と主張しただけであった。

原審は、証拠から、G から買い受けたのは F であると認定し、Y の主張を排斥した。ところが続けて、E は F から本件土地の死因贈与を受けて F の死亡で所有権を取得し、Y がこれを相続したと認定した。そのうえで X らの請求を棄却した。X らが上告した。

争点

  • 相続による特定財産の取得を主張する者が、何を主張立証すべきか(被相続人の所有権喪失事由・処分行為の不存在まで必要か)
  • 「買い受けたのは被相続人ではなく E だ」という被告の主張の性質(積極否認か抗弁か)
  • 当事者が抗弁として主張していない死因贈与の事実を、証拠から認定して請求を排斥できるか(弁論主義)

判旨

原判決を破棄し、差し戻した(裁判官全員一致)。

規範:相続による特定財産の取得を主張する者が主張立証すべき事実は、次の2つで足りる。

  • 被相続人の所有が争われているときは、被相続人が生前その財産の所有権を取得した事実
  • 自己が被相続人の死亡によりその遺産を相続した事実

次の事実は、相続人による承継取得を争う者が抗弁として主張立証すべきである。

  • その後、被相続人の死亡時までに所有権喪失の原因となる事実があったこと
  • 被相続人の特段の処分行為により、財産が相続財産から逸出したこと

あてはめ:Y の「買い受けたのは F ではなく E」との主張は、F の所有権取得に対する積極否認にすぎない。F の買受けが認定され、相続の事実に争いがない以上、X らの請求は当然認容されるべきである。Y が抗弁として主張していない F から E への死因贈与を認定して請求を排斥したのは、明らかに弁論主義に違反する。

これと異なる大判昭和11年10月6日は変更された。

判決文から

「その後被相続人の死亡時まで同人につき右財産の所有権喪失の原因となるような事実はなかつたこと、及び被相続人の特段の処分行為により右財産が相続財産の範囲から逸出した事実もなかつたことまで主張立証する責任はなく」

相続取得主張者の主張立証責任の範囲を画定

「これら後者の事実は、いずれも右相続人による財産の承継取得を争う者において抗弁としてこれを主張立証すべきものである。」

喪失・逸出事由は相手方の抗弁と位置づけた

「このような主張は、Fの所有権取得の主張事実に対する積極否認にすぎない。」

被告主張は否認であり抗弁を含まないと評価

「右は明らかに弁論主義に違反するものといわなければならない。」

主張なき抗弁事実の認定を違法とした結論

「右判例は、変更すべきものである。」

大審院判例を変更した点

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。