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強制採尿事件

最決昭和55年10月23日

強制採尿は最終手段としては許され、医師に行わせる旨の条件を付した捜索差押令状によるべきとした決定

刑事訴訟法捜索・差押え・検証判決の効力・既判力捜査の端緒・任意捜査本試験で 17 問(短答 17・論文 0)

出題:司法H22・司法H25・司法H26・予備H25・予備H26・予備H27・予備H28・予備H29・予備R2・予備R5・予備R6・予備R8

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和54(あ)429 覚せい剤取締法違反
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第34巻5号300頁
参照法条
刑訴法99条,刑訴法102条,刑訴法218条,刑訴法219条,刑訴法222条,覚せい剤取締法19条,覚せい剤取締法41条の2第1項3号

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 捜査手続上の強制処分として被疑者の体内から導尿管(カテーテル)を用いて尿を採取することの可否 二 被疑者からの強制採尿に必要な令状の種類とその形式 三 強制採尿の過程に適切な条件を付した捜索差押令状によらなかつた不備があつても採尿検査の適法性がそこなわれないとされた事例

裁判要旨

一 被疑者の体内から導尿管(カテーテル)を用いて強制的に尿を採取することは、捜査手続上の強制処分として絶対に許されないものではなく、被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経たうえ、被疑者の身体の安全と人格の保護のための十分な配慮のもとに行うことが許される。 二 捜査機関が強制採尿をするには捜索差押令状によるべきであり、右令状には、医師をして医学的に相当と認められる方法で行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である。 三 強制採尿の過程に、適切な条件を付した捜索差押令状でなく、身体検査令状及び鑑定処分許可状によつてこれを行つた不備があつても、それ以外の点では法の要求する要件がすべて充足されているときには(判文参照)、右の不備は、採尿検査の適法性をそこなうものではない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

警察官は、被告人を覚せい剤譲渡しの被疑事実で逮捕した。被告人の両腕に静脈注射痕様のものがあり、言語・態度からも覚せい剤の自己使用の余罪が疑われた。そこで尿の任意提出を再三求めたが、被告人は拒絶し続けた。

警察は翌日、強制採尿もやむなしとして、従来の実務に従い身体検査令状と鑑定処分許可状の発付を得た。鑑定受託者である医師は、まず自然排尿の機会を与えた。そのうえで、警察署医務室のベッド上で数人の警察官に身体を押さえつけられた被告人の尿道にゴム製カテーテルを挿入し、約100ccの尿を採取した。被告人は開始直前まで激しく抵抗したが、開始後はさして抵抗しなかった。

警察は医師から尿の任意提出を受けて領置し、鑑定を嘱託した。原判決は本件採尿検査を違法としたが、尿を資料とした鑑定書の証拠能力は肯定した。

争点

  • 捜査上の強制処分として、カテーテルで被疑者の体内から尿を強制採取することが許されるか
  • 強制採尿に必要な令状の種類と形式(記載すべき条件)
  • 身体検査令状と鑑定処分許可状で行った強制採尿の適法性
  • 尿の採取が憲法38条1項(自己負罪拒否特権)に触れるか

判旨

上告棄却(原判決が採尿検査を違法とした点は法令違反だが、判決に影響しない)。

  • 許容性:強制採尿は捜査手続上の強制処分として絶対に許されないものではない。被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経て行うことが許される。実施にあたっては、被疑者の身体の安全と人格の保護に十分配慮しなければならない。
  • 令状:体内の尿を証拠物として強制採取する行為は捜索・差押えの性質を有するから、捜索差押令状が必要である。また、身体検査令状に関する刑訴法218条5項(判決当時)が準用され、「医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない」旨の条件の記載が不可欠である。
  • 本件:身体検査令状と鑑定処分許可状によった点は技術的な形式的不備にとどまり、採尿検査の適法性を損なわない。

判決文から

「被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経てこれを行うことも許されてしかるべきであり」

強制採尿の許容要件。答案の規範そのもの

「体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。」

令状の種類=捜索差押令状とした核心部分

「身体検査令状に関する刑訴法二一八条五項が右捜索差押令状に準用されるべきであつて、令状の記載要件として強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠である」

医師による実施条件が令状の必要的記載事項

「この点の不一致は技術的な形式的不備であつて、本件採尿検査の適法性をそこなうものではない。」

従来実務の令状による採尿も適法とした事例判断

「憲法三八条一項違反をいう点は、尿の採取は供述を求めるものではないから、所論は前提を欠き」

採尿は自己負罪拒否特権の問題でない

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。