最決昭和54年4月13日
暴行・傷害を共謀した者の一人が殺意をもって殺害した場合、殺意のない共謀者には傷害致死罪の共同正犯が成立する
出題:司法H22・司法H24・司法H25・司法H27・司法R1・司法R2・司法R5・予備H24・予備H25・予備H27・予備R5・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和52(あ)2113 傷害致死、公務執行妨害、恐喝、暴力行為等処罰に関する法律違反、監禁、傷害、風俗営業等取締法違反
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第33巻3号179頁
- 参照法条
- 刑法38条2項,刑法60条,刑法199条,刑法205条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの一人が殺人罪を犯した場合における他の共犯者の罪責
裁判要旨
暴行・傷害を共謀した共犯者のうちの一人が殺人罪を犯した場合、殺意のなかつた他の共犯者については、傷害致死罪の共同正犯が成立する。
解説
事案
暴力団組長である被告人ら4名を含む組長・組員ら7名は、風俗営業の立入り調査をした巡査Gの措置に憤慨した。一行は派出所に押しかけてGをなじり、いったん引き上げた後、組員を召集するなどして、順次、Gに暴行ないし傷害を加える旨を共謀した。
その後、派出所前で7名がこもごもGに罵声・怒声を浴びせたところ、Gの応答に激昂した組員Jが、未必の殺意をもって所携のくり小刀(刃体約12.7cm)でGの下腹部を1回突き刺し、失血死させた。
第一審判決は、7名の所為は刑法60条・199条に該当するとしつつ、J以外の者は暴行ないし傷害の意思で共謀したものであるから、38条2項により60条・205条1項の罪の刑で処断すると法令を適用した。原判決もこれを維持した。上告趣意は刑訴法405条の上告理由に当たらないとされ、最高裁は法令適用の当否を職権で判断した。
争点
- 暴行・傷害を共謀した共犯者の一人が殺意をもって殺人を犯した場合、殺意のない他の共犯者にいかなる罪の共同正犯が成立するか
- 殺人罪の共同正犯を成立させ、刑のみを傷害致死罪の刑で処断すること(罪名と科刑の分離)が許されるか
判旨
上告棄却。
- 規範:殺人罪と傷害致死罪は、殺意の有無という主観面に差異があるだけで、その余の構成要件要素は同一である。したがって、暴行・傷害を共謀した者の一人が未必の故意をもって殺人罪を犯した場合、殺意のなかった共謀者には、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で、軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する。
- 罪名と科刑の分離の否定:殺意のない者に重い殺人罪の共同正犯を成立させ、刑のみを傷害致死罪の刑で処断するのは誤りである。
- 本件の結論:第一審の法令適用は「60条、199条に該当する」としているが、殺人罪の共同正犯の成立を認めたものではない。よって、これを維持した原判決に誤りはない。
判決文から
「殺人罪と傷害致死罪とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素はいずれも同一である」
構成要件の重なり合いを認める前提
「殺意のなかつた被告人Cら六名については、殺人罪の共同正犯と傷害致死罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立するものと解すべきである」
本決定の中心的規範
「被告人Cら六名には殺人罪という重い罪の共同正犯の意思はなかつたのであるから、被告人Cら六名に殺人罪の共同正犯が成立するいわれはなく」
故意のない重い罪の共同正犯を否定
「もし犯罪としては重い殺人罪の共同正犯が成立し刑のみを暴行罪ないし傷害罪の結果的加重犯である傷害致死罪の共同正犯の刑で処断するにとどめるとするならば、それは誤りといわなければならない」
罪名と科刑の分離を否定
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
