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最判昭和53年9月21日

請負報酬債権と瑕疵修補に代わる損害賠償債権は同時履行の関係にあるが、債権額が異なっても相殺できる

民法弁済・相殺契約総論(成立・解除・危険負担)請負・委任・寄託本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:予備H23・予備H29

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和52(オ)1306 損害賠償及び請負代金
裁判
判決・棄却
判例集
集民 第125号85頁
参照法条
民法505条,民法533条,民法634条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

債権額の異なる請負人の報酬債権と注文者の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権とを相殺することの許否

裁判要旨

請負人の注文者に対する報酬債権と注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権とは、右両債権額が異なる場合であつても相殺することが許される。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

請負契約の目的物に瑕疵があったため、注文者(被上告人)が請負人(上告人)に対し瑕疵修補に代わる損害賠償を求め、請負人は工事代金(報酬)を請求した。注文者は、請負人の工事代金請求権が認められることを条件として、予備的に瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権とする相殺を主張した。原審は相殺を認めた。

請負人は上告し、次のように主張した。

  • 注文者は目的物の引渡しを受けた際に修補請求をしなかったから、請求権を放棄した。
  • 両債権は同時履行の関係にあり、しかも金額が異なるから、相殺は許されない。

注文者も附帯上告したが、いずれも棄却された。

争点

  • 同時履行の関係(民法634条2項〔当時〕)にある請負報酬債権と瑕疵修補に代わる損害賠償債権とを相殺できるか(民法505条1項)
  • 両債権の金額が異なる場合でも相殺できるか
  • 注文者が引渡し受領時に修補請求をしなかったことで、瑕疵修補・損害賠償請求権を放棄したといえるか

判旨

請負人の注文者に対する報酬(工事代金)債権と、注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権とは、同時履行の関係にあっても相殺できる。両債権の金額が異なる場合でも同様で、対当額で相殺できる。

規範(答案用):自働債権に同時履行の抗弁権が付着していても、両債権が同一の原因関係に基づく金銭債権であり、相互に現実の履行をさせなければならない特別の利益がなく、相殺を認めても相手方に抗弁権喪失の不利益を与えないときは、相殺が許される。

あわせて、次のことも判示した。

  • 瑕疵修補またはこれに代わる損害賠償の請求権は、民法637条・638条(当時)の期間内であれば、目的物の引渡し後も行使できる。
  • 引渡し受領時に修補請求をしなかったことから、直ちに請求権を放棄したと解するのは相当でない。

判決文から

「相互に現実の履行をさせなければならない特別の利益があるものとは認められず、両債権のあいだで相殺を認めても、相手方に対し抗弁権の喪失による不利益を与えることにはならないものと解される。」

同時履行の抗弁付着でも相殺を認める核心部分

「この理は、相殺に供される自働債権と受働債権の金額に差異があることにより異なるものではない。」

債権額が異なっても相殺可とした点

「相殺により清算的調整を図ることが当事者双方の便宜と公平にかない、法律関係を簡明ならしめるゆえんでもある。」

相殺を積極的に肯定する実質的理由

「実質的・経済的には、請負代金を減額し、請負契約の当事者が相互に負う義務につきその間に等価関係をもたらす機能を有する」

損害賠償債権を代金減額的機能と捉える前提

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。