羽田空港ロビーデモ事件(第二次上告審)
無許可デモの指導者に相当の理由ある違法性の錯誤を認めた原判決を、違法性の意識はあったとして事実誤認で破棄した
出題:司法R2・司法R7
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和51(あ)1163 昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例違反
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第32巻4号967頁
- 参照法条
- 昭和25年東京都条例1条,昭和25年東京都条例5条,刑法38条3項,刑訴法411条3号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
無許可の集団示威運動の指導者につき相当の理由に基づく違法性の錯誤があつたとして昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例五条の罪の成立を否定した原判決に事実の誤認があるとされた事例―いわゆる羽田空港ロビーデモ第二次上告審事件―
裁判要旨
A内国際線出発ロビーにおける参加者約三〇〇名による無許可の集団示威運動を指導した被告人について違法性の錯誤を認めた原判決は、被告人が終始みずからの意思と行動で右集団を指導、煽動していたなど判示の事情のもとにおいては、事実を誤認したものであり、破棄を免れない。
解説
事案
被告人は、日中友好団体の中央本部で常任理事・教宣委員長を務めていた。団体は首相の訪米に反対し、機関紙等で関係者に「11月12日に集まって反対の意思表示をする」と呼びかけていた。前日の同趣旨の集会・デモについては、被告人が東京都公安委員会の許可を受けて実行していた。しかし本件については許可申請をしていなかった。
昭和42年11月12日、被告人は国際線出発ロビー内の灰皿の上に立ち、集まった約300名に対して演説し、自ら司会をし、シュプレヒコールの音頭をとった。さらに、警察官が見ている前で「首相訪米反対の意思を堂々と表示できたのは偉大な力である」と士気を鼓舞し、「行動を開始します」と宣言した。これに応じて集団の一部がスクラムを組み、かけ声をかけながらロビー内を半周した。この間、ビル管理会社は場内放送で繰り返し制止していたが、無視された。
被告人は東京都公安条例5条違反(無許可集団示威運動の指導)で起訴された。原審は、構成要件該当性は一応認めた。そのうえで、被告人は本件デモが法律上許されないとは考えておらず、そう誤信したことに相当の理由があるとして、違法性の錯誤により犯罪の成立が阻却されるとした。検察官が上告した。
争点
- 相当の理由に基づく違法性の錯誤は犯罪の成立を阻却するか(原審の法律判断の当否。刑法38条3項)
- 被告人は行為当時、本件集団示威運動が法律上許されないことを認識していたか(違法性の意識の有無の事実認定)
判旨
最高裁は原判決を破棄し、東京高裁に差し戻した。
- 原審の「相当の理由に基づく違法性の錯誤は犯罪の成立を阻却する」という法律判断は、被告人に違法性の意識が欠けていたことを前提とする。
- 最高裁は、その前提事実に事実誤認があるとした(刑訴法411条3号)。そのため、検察官が主張した刑法38条の解釈(判例違反)については判断していない。
- 違法性の意識の有無は、被告人の言動、経歴・知識・経験に照らして認定する。本件では、被告人は都内で集団示威運動をするには場所を問わず公安委員会の許可が必要なことを知っていた。また、自ら集団を指導・煽動しており、集団の行動が示威運動の性質を帯びることも認識していた。したがって、行為当時、本件デモが法律上許されないものであることを認識していたと認められる。
- 原判決が挙げた事情や、デモが比較的平穏だったという点は、この認定を左右しない。
判決文から
「原判決の前示法律判断は被告人に違法性の意識が欠けていたことを前提とするものであるところ、職権により調査すると、原判決には右の前提事実につき事実の誤認があると認められるから、所論について判断するまでもなく」
違法性の錯誤論の当否に立ち入らず事実誤認で処理した点
「被告人は東京都内において集団示威運動を行おうとするときは場所のいかんを問わず本条例に基づき東京都公安委員会の許可を受けなければならないことを知つていたことが明らかであるうえ」
違法性の意識を認定した具体的根拠
「被告人は行為当時本件集団示威運動が法律上許されないものであることを認識していたと認めるのが相当である。」
違法性の意識ありとの結論部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
