米子銀行強盗事件
職務質問に附随する所持品検査は、承諾がなくても、捜索に至らず強制にわたらない限り、相当な限度で許容されるとした判例
出題:司法R6・予備H30・予備R3・予備R5・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和52(あ)1435 爆発物取締罰則違反、殺人未遂、強盗
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第32巻4号670頁
- 参照法条
- 警職法2条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 職務質問に附随して行う所持品検査の許容限度 二 職務質問に附随して行う所持品検査において許容される限度内の行為と認められた事例 ―いわゆる明治公園爆弾事件・松江相銀米子支店強奪事件―
裁判要旨
一 職務質問に附随して行う所持品検査は、所持人の承諾を得て、その限度においてこれを行うのが原則であるが、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査の必要性、緊急性、これによつて侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度で許容される場合がある。 二 警察官が、猟銃及び登山用のナイフを使用しての銀行強盗の容疑が濃厚な者を深夜に検問の現場から警察署に同行して職務質問中、その者が職務質問に対し黙秘し再三にわたる所持品の開披要求を拒否するなどの不審な挙動をとり続けたため、容疑を確かめる緊急の必要上、承諾がないままその者の所持品であるバツグの施錠されていないチヤツクを開披し内部を一べつしたにすぎない行為(判文参照)は、職務質問に附随して行う所持品検査において許容される限度内の行為である。
解説
事案
米子市内で、猟銃とナイフを所持した4人組が銀行から600万円余を強奪して逃走する事件が発生した。岡山県総社警察署の警察官らは緊急配備について検問を行った。深夜0時10分ころ、手配人相に似た若い男2人(被告人とA)が乗る乗用車を発見し、職務質問を始めた。後部座席にはボーリングバッグとアタッシュケースがあった。
両名は黙秘し、営業所事務所内でも住所・氏名の回答を拒んだ。バッグとケースの開披を約30分にわたり繰り返し求められても拒み続けた。警察官らは両名を取り囲み、または引っ張るようにして警察用自動車に乗せ、警察署に同行して質問を続けたが、両名は黙秘を続けた。
B巡査長は、Aが開披を拒み続けたため、午前1時40分ころ、承諾のないままボーリングバッグの施錠されていないチャックを開けた。中には大量の紙幣が見えた。続いて、施錠されたアタッシュケースの鍵の部分をドライバーでこじ開けると、被害銀行の帯封のある札束が見えた。B巡査長はAを強盗で緊急逮捕し、その場でバッグ・ケース・帯封・現金等を差し押さえた。被告人も緊急逮捕された。
争点
- 警職法2条1項の職務質問に附随して所持品検査をすることができるか
- 所持人の承諾のない所持品検査が許容される場合とその限度
- 承諾なくバッグの施錠されていないチャックを開けて内部を一べつした行為の適否
- アタッシュケースをこじ開けて得た証拠物の証拠能力
判旨
結論:上告棄却。ボーリングバッグの開披は、職務質問に附随する所持品検査として許容される。
規範
- 所持品検査は、口頭の質問と密接に関連し、職務質問の効果をあげるうえで必要性・有効性が認められる。そのため、警職法2条1項の職務質問に附随して行うことができる場合がある。
- 任意手段である職務質問の附随行為であるから、所持人の承諾を得て、その限度で行うのが原則である。
- もっとも、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り許容される場合がある。その場合も、限定的な場合において、所持品検査の必要性、緊急性、これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度においてのみ許容される。
アタッシュケースの点:バッグの適法な開披により既に緊急逮捕の要件が整っていた。しかも極めて接着した時間内に現場で緊急逮捕手続が行われた。そのため、こじ開け行為は逮捕に先行して逮捕の現場で時間的に接着してされた捜索手続と同一視でき、ケースと帯封の証拠能力は排除されない。
判決文から
「所持品の検査は、口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果をあげるうえで必要性、有効性の認められる行為であるから、同条項による職務質問に附随してこれを行うことができる場合があると解するのが、相当である。」
明文のない所持品検査の根拠を警職法2条1項に求めた部分
「捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査においても許容される場合があると解すべきである。」
無承諾の所持品検査が許される外枠(第1段階)
「所持品検査の必要性、緊急性、これによつて害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度においてのみ、許容されるものと解すべきである。」
相当性判断の考慮要素(第2段階)。答案の規範
「所持品検査の態様は携行中の所持品であるバツグの施錠されていないチヤツクを開披し内部を一べつしたにすぎないものであるから、これによる法益の侵害はさほど大きいものではなく」
適法とされた行為態様の限定性
「Aを逮捕する目的で緊急逮捕手続に先行して逮捕の現場で時間的に接着してされた捜索手続と同一視しうるものであるから」
こじ開け行為の証拠能力を肯定した論理
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
