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熊撃ち事件

最決昭和53年3月22日

熊と誤認した誤射で重傷を負わせ、その後殺意をもって射殺した場合、業務上過失傷害罪と殺人罪は併合罪となる

刑法罪数論構成要件該当性・因果関係本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R4・予備H29

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和50(あ)1339 業務上過失傷害、殺人、死体遺棄
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第32巻2号381頁
参照法条
刑法45条,刑法199条,刑法211条前段

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

業務上過失傷害罪と殺人罪とが併合罪の関係にあるとされた事例

裁判要旨

人を熊と誤認して猟銃を二発発射し下腹部等に命中させて瀕死の重傷を負わせたという業務上過失傷害の罪と、誤射に気がつき殺意をいだいてさらに猟銃を一発発射し胸部等に命中させて即死させたという殺人の罪とは、併合罪の関係にある。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は、人を熊と誤認して猟銃を2発発射した。弾は被害者の下腹部等に命中し、被害者は瀕死の重傷を負った(第1行為)。その後、被告人は誤射に気がつき、殺意をいだいて、さらに猟銃を1発発射した。弾は被害者の胸部等に命中し、被害者は即死した(第2行為)。

被告人は業務上過失傷害、殺人、死体遺棄の罪で起訴された。原審(東京高裁)は、業務上過失傷害罪と殺人罪について、両罪は「責任条件を異にする関係上」併合罪の関係にあると判断した。被告人側は上告し、憲法違反、判例違反、事実誤認、法令違反、量刑不当を主張した。

争点

  • 過失による傷害行為の後に、新たに生じた殺意に基づいて殺害行為をした場合の罪数(業務上過失傷害罪と殺人罪の関係)
  • 原審が併合罪の理由とした「責任条件を異にする」(故意犯と過失犯の違い)という説明は妥当か
  • 先行する過失行為で瀕死の重傷を負わせていた場合に、後行の故意行為による死亡結果をどう帰属させるか

判旨

上告棄却。最高裁は、上告趣意はいずれも刑訴法405条の上告理由に当たらないとしたうえで、職権で罪数について判断した。

  • 業務上過失傷害罪(刑法211条前段)と殺人罪(刑法199条)は、併合罪(刑法45条)の関係にある。
  • ただし、原審が理由とした「責任条件を異にする関係上併合罪」という点は「首肯しえないところがある」とし、結論においてのみ正当とした。

決定自体は規範を一般論として示していない。答案では次のように書けば足りる。

過失による先行行為と、その後新たに生じた殺意に基づく後行行為とは、別個の行為であって観念的競合(刑法54条1項前段)にいう「一個の行為」に当たらない。したがって、両罪は併合罪となる。

なお、死亡結果は第2行為に帰属し、殺人既遂罪が成立する。第1行為については業務上過失傷害罪にとどまる。

判決文から

「本件業務上過失傷害罪と殺人罪とは責任条件を異にする関係上併合罪の関係にあるものと解すべきである、とした原審の罪数判断は、その理由に首肯しえないところがあるが、結論においては正当である」

結論(併合罪)は維持しつつ、故意・過失の違いという理由は否定

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。