最判昭和53年12月22日
賃借権が適法に譲渡されても、特段の事情がない限り敷金関係は新賃借人に承継されないとした判例
出題:司法H26・司法R4・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和52(オ)844 取立債権
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第32巻9号1768頁
- 参照法条
- 民法612条,民法619条2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
土地賃借権の移転と敷金に関する敷金交付者の権利義務関係の承継の有無
裁判要旨
土地賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転された場・合であつても、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は、敷金交付者において賃貸人との間で敷金をもつて新賃借人の債務の担保とすることを約し又は新賃借人に対して敷金返還請求権を譲渡するなど特段の事情のない限り、新賃借人に承継されない。
解説
事案
D社は上告人(賃貸人)から土地を賃借し、敷金3000万円を差し入れていた。返還は「賃貸借が終了し地上物件を収去して土地を明け渡すのと引換え」とする約定であった。被上告人(国)は、D社の滞納国税を徴収するため、国税徴収法に基づき、D社が上告人に対して持つ将来生ずべき敷金返還請求権の全額を差し押さえた。差押通知は昭和46年6月ころ上告人に送達された。
その後、D社所有の地上建物が競売法による競売にかけられ、E社が競落して、建物所有権とともに土地賃借権を取得した。上告人は昭和47年6月ころ、E社の賃借権取得を承諾した。承諾前、D社に賃料債務などの不履行はなかった。
上告人は、承諾の際に、敷金関係がE社に承継されることを前提として承諾料1900万円を敷金に追加する旨をE社と合意し、D社もこれを承諾したと主張した(原審は、仮にそうであっても国に対抗できないとしてこの主張を退けた)。国は上告人に対し、敷金3000万円の取立てを求めて訴えた。
争点
- 賃借権が賃貸人の承諾を得て旧賃借人から新賃借人に移転した場合、敷金に関する権利義務関係は新賃借人に承継されるか
- 敷金返還請求権が国税徴収のため先に差し押さえられている場合、敷金を新賃借人の債務の担保とする合意や敷金返還請求権の譲渡を差押債権者(国)に対抗できるか
判旨
上告を棄却し、国の3000万円の支払請求を認めた原審を維持した。
規範
- 敷金契約は、賃貸借に従たる契約ではあるが、賃貸借とは別個の契約である。
- 賃借権が旧賃借人から新賃借人に移転し、賃貸人の承諾により旧賃借人が賃貸借関係から離脱した場合、敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は新賃借人に承継されない。
- 例外は特段の事情がある場合である。具体的には、敷金交付者が賃貸人との間で敷金を新賃借人の債務不履行の担保とすることを約した場合や、新賃借人に敷金返還請求権を譲渡した場合などである。
- 特段の事情に当たる合意や譲渡があっても、それ以前に敷金返還請求権が国税徴収法により差し押さえられていれば、その効力を差押えをした国に対抗できない。
本件へのあてはめ
賃貸人は、E社の賃借権取得を承諾した日に、D社に対して敷金3000万円を返還すべき義務を負う。承諾料を敷金に追加する合意とD社の承諾は、国に対抗できない。
判決文から
「賃貸借に従たる契約ではあるが、賃貸借とは別個の契約である。」
敷金契約の独立性が不承継の論理の出発点
「右敷金をもつて将来新賃借人が新たに負担することとなる債務についてまでこれを担保しなければならないものと解することは、敷金交付者にその予期に反して不利益を被らせる結果となつて相当でなく」
不承継の実質的理由(交付者の予期の保護)
「敷金に関する敷金交付者の権利義務関係は新賃借人に承継されるものではないと解すべきである。」
結論部分。答案の規範としてそのまま使える
「それより以前に敷金返還請求権が国税の徴収のため国税徴収法に基づいてすでに差し押えられている場合には、右合意又は譲渡の効力をもつて右差押をした国に対抗することはできない。」
特段の事情があっても先行差押えに劣後する
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
