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最判昭和53年10月5日

特定物債権者は詐害行為取消権を行使できても、目的不動産について自己への直接の所有権移転登記は請求できない

民法責任財産の保全(詐害行為・債権者代位)不動産登記と対抗要件本試験で 2 問(短答 1・論文 1)

出題:司法R4・予備H27

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和51(オ)1215 土地所有権確認等
裁判
判決・その他
判例集
民集 第32巻7号1332頁
参照法条
民法424条,民法425条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

不動産の引渡請求権者が債務者による目的不動産の処分行為を詐害行為として取り消す場合と自己に対する所有権移転登記手続請求の可否

裁判要旨

不動産の引渡請求権者は、目的不動産についてされた債務者の処分行為を詐害行為として取り消す場合に、直接自己に対する所有権移転登記手続を請求することはできない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

上告人は、本件物件(土地建物)について死因贈与契約に基づく引渡請求権(特定物債権)を有していた。また、本件物件のうち本件貸室部分には賃借権を有していた。ところが債務者は本件物件を処分した。

上告人は、この処分行為を詐害行為として取り消すとともに、直接自己に対する所有権移転登記手続を求めた。あわせて、死因贈与契約の履行不能による損害賠償(填補賠償)も請求した。

原審(大阪高裁)の判断は次のとおりである。

  • 移転登記請求:「特定物の引渡請求権に基づいて直接自己に所有権移転登記を求めることは許されない」とした。
  • 損害賠償請求:鑑定に基づき、上告人の賃借権の存在を考慮した本件物件の価格を296万円と認定した。これを填補賠償額とし、それを超える部分を棄却した。

上告人が上告した。

争点

  • 特定物債権者は、目的物の処分行為を詐害行為として取り消すことができるか
  • 特定物債権者が詐害行為取消権を行使する場合、直接自己に対する所有権移転登記手続を請求できるか

判旨

移転登記請求部分:上告棄却。損害賠償請求の棄却部分:破棄差戻し。

  • 取消し自体は可能:特定物債権も窮極において損害賠償債権に変じうるので、金銭債権と同様に債務者の一般財産で担保されるべきである。債務者が目的物を処分して無資力となった場合、特定物債権者はその処分行為を詐害行為として取り消すことができる(最大判昭和36年7月19日を確認)。
  • 自己への移転登記は不可:民法424条の債権者取消権は、総債権者の共同担保の保全を目的とする。この制度趣旨に照らし、特定物債権者は目的物自体を自己の債権の弁済に充てることはできない。したがって、直接自己への所有権移転登記手続を請求することはできない。

答案用の規範は次のとおり。「詐害行為取消権は総債権者の共同担保の保全を目的とするから、特定物債権者であっても目的物自体を自己の債権の弁済に充てることはできず、取消しに基づき直接自己への所有権移転登記を求めることはできない。」

判決文から

「特定物引渡請求権(以下、特定物債権と略称する。)は、窮極において損害賠償債権に変じうるのであるから、債務者の一般財産により担保されなければならないことは、金銭債権と同様であり」

特定物債権者も取消権者となりうる根拠

「民法四二四条の債権者取消権は、窮極的には債務者の一般財産による価値的満足を受けるため、総債権者の共同担保の保全を目的とするものであるから」

取消権の制度趣旨=共同担保の保全

「特定物債権者は目的物自体を自己の債権の弁済に充てることはできないものというべく」

自己への移転登記請求を否定する結論部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。