芦別事件
無罪判決が確定しても、逮捕・勾留・公訴提起・追行は直ちに国賠法上違法とならず、公務員個人も賠償責任を負わない
出題:司法H23・予備H23・予備H27・予備R5・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和49(オ)419 国家賠償
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第32巻7号1367頁
- 参照法条
- 国家賠償法1条,民法709条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 無罪判決の確定と捜査及び訴追の違法性 二 国家賠償法一条と公務員個人の賠償責任
裁判要旨
一 無罪の刑事判決が確定したというだけで直ちに当該刑事事件についてされた逮捕、勾留及び公訴の提起・追行が違法となるものではない。 二 公権力の行使に当たる国の公務員がその職務を行うにつき故意又は過失によつて違法に他人に損害を与えた場合には、国がその被害者に対して賠償の責に任じ、公務員個人はその責を負わない。
解説
事案
昭和27年7月頃に起きた鉄道爆破事件(列車往来危険罪等)について、警察・検察は、発破器の窃盗、火薬類取締法違反などの被疑事実でMや上告人A1らを逮捕・勾留した。多数の参考人も逮捕・勾留して取り調べ、Mは逮捕から140日以上たって自白した。検察官はMとA1を起訴し、刑事事件では無罪判決が確定した。
そこで上告人らは、国と、捜査・訴追にあたった公務員個人(被上告人B1ら)を相手に、国家賠償法1条・民法709条に基づき損害賠償を請求した。主張の内容は次のとおりである。
- 遺留品の発破器や雷管の同一性に関する捜査官・検察官の判断は誤っていた。
- 被告人に有利な証拠(別の発破器、工数簿・操業証、手帳など)を隠匿した。
- 参考人の逮捕・勾留は濫用であった。
原審(札幌高裁)は請求を排斥した。最高裁は上告を棄却した。
争点
- 無罪判決が確定した場合、それだけで捜査・公訴の提起・追行が国家賠償法1条1項の違法となるか
- 逮捕・勾留および公訴の提起・追行の違法性の判断基準
- 参考人としての供述を得る目的での逮捕・勾留や、余罪の取調べの適否
- 国家賠償法1条の下で、加害公務員個人が被害者に直接賠償責任を負うか
判旨
結論:請求棄却を維持。無罪判決が確定したというだけで、起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が直ちに違法となることはない。
規範
- 逮捕・勾留:その時点で犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ必要性が認められる限り適法である。
- 公訴の提起・追行:起訴時・公訴追行時の各種の証拠資料を総合勘案し、合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りる。
- 参考人の逮捕・勾留:もっぱら他人の被疑事実について参考人として供述を求めるための逮捕・勾留は違法である。もっとも、令状記載の被疑事実について取調べがされ、その際に他人の被疑事実について任意の供述がされた場合に、これを聴取することは違法でない。
- 公務員個人の責任:公権力の行使に当たる国の公務員が、職務を行うについて故意・過失により違法に他人に損害を与えた場合、賠償責任を負うのは国であり、公務員個人は責任を負わない。
判決文から
「刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となるということはない。」
結果違法の否定という結論部分
「逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められるかぎりは適法であり」
逮捕・勾留の違法性を行為時で判断する基準
「起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当である」
公訴提起・追行の違法性判断の規範
「もつぱら他の者の被疑事実について参考人としての供述を求めるために逮捕・勾留することは違法であるが」
参考人目的の身柄拘束は違法とした部分
「国がその被害者に対して賠償の責に任ずるのであつて、公務員個人はその責を負わないものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである」
公務員個人責任の否定を確認した部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
