最決昭和52年7月21日
侵害を予期しただけでは急迫性は失われないが、積極的加害意思で侵害に臨めば急迫性を欠くとした決定
出題:司法H22・司法R1・司法R3・司法R7・予備H23・予備H25・予備R3・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和51(あ)671 兇器準備集合、暴力行為等処罰に関する法律違反
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第31巻4号747頁
- 参照法条
- 刑法36条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
刑法三六条における侵害の急迫性
裁判要旨
刑法三六条における侵害の急迫性は、当然又はほとんど確実に侵害が予期されただけで失われるものではないが、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは失われることになる。
解説
事案
被告人らは兇器準備集合罪および暴力行為等処罰に関する法律違反で起訴された。原判決によれば、被告人Aは、相手の攻撃を当然に予想しながら、単なる防衛の意図ではなく、積極的攻撃、闘争、加害の意図をもって相手方の侵害に臨んだ。
原審(福岡高裁)は、侵害が予期されていたことを理由に、刑法36条の侵害の急迫性を否定する趣旨の判断を示した。
弁護人は上告し、最判昭和46年11月16日との判例違反を主張した。同判決は「侵害が予期されていた事実は急迫性の判断に何の意味ももたない」とした判例である、というのが弁護人の理解である。被告人Bも本人として上告したが、その内容は事実誤認の主張であった。
争点
- 侵害が当然またはほとんど確実に予期されていた場合に、刑法36条の侵害の急迫性は失われるか
- 侵害を予期した者が積極的加害意思で侵害に臨んだ場合、急迫性は認められるか
判旨
上告棄却。
規範
- 刑法36条が急迫性を要件とするのは、予期された侵害を避けるべき義務を課する趣旨ではない。したがって、当然またはほとんど確実に侵害が予期されたとしても、それだけで直ちに急迫性が失われるわけではない。
- ただし、単に予期された侵害を避けなかったにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや急迫性の要件を充たさない。
あてはめ
- 被告人Aは、相手の攻撃を当然に予想しながら、積極的攻撃・闘争・加害の意図をもって臨んだ。これを前提とする限り、急迫性を欠く。
- 予期から直ちに急迫性を否定した原判断は、その限度で違法である。ただし、急迫性を否定した結論は正当である。
判決文から
「刑法三六条が正当防衛について侵害の急迫性を要件としているのは、予期された侵害を避けるべき義務を課する趣旨ではないから、当然又はほとんど確実に侵害が予期されたとしても、そのことからただちに侵害の急迫性が失われるわけではない」
予期のみでは急迫性は否定されない(回避義務の否定)
「単に予期された侵害を避けなかつたというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや侵害の急迫性の要件を充たさないものと解するのが相当である」
積極的加害意思論の規範そのもの
「所論のように、侵害が予期されていたという事実は急迫性の有無の判断にあたつて何の意味をももたない旨を判示しているものではない」
予期は急迫性判断の一事情となりうることを示す
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
